放課後等デイサービス(放デイ)の収益源は、国から支払われる報酬です。基本報酬は全事業所で受け取れますが、その他の加算は申請してはじめて支払われます。事業者としては収益を上げたい一方で、算定に必要な条件の把握が追いつかない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、放デイの延長支援加算をピックアップ。算定要件や報酬単価はもちろん、他事業所の算定状況もあわせて紹介します。
放課後等デイサービスの延長支援加算とは?
延長支援加算の算定要件や報酬単価は、それぞれ次のとおりです。
算定要件
放デイで算定できる延長支援加算の算定要件は、次の5つです。
- 営業時間が8時間以上
- 営業時間の前後にサービスを提供
- 直接支援を行うスタッフを配置(1名以上)
- やむを得ない理由があって延長利用している旨を障がい児支援利用支援計画に記載
- 管轄の行政庁へ延長支援加算体制届出書を提出
ここでいう「営業時間」には、送迎のみを行う時間は含まれません。また、やむを得ない理由の例としては「受け入れ先が不足している」などがありますが、どのような場合に適用できるかは事前に管轄の行政庁へ確認しておくとよいでしょう。
なお、事業所側には営業時間の適正化に努める姿勢が求められるため、漫然と算定し続けることのないように利用状況を把握・調整していくことが大切です。
報酬単価
延長支援加算の報酬単価は、重症心身障がい児の有無によって異なります。1日当たりの報酬単価は、次のとおりです。
重症心身障がい児以外の場合 | 重症心身障がい児の場合 | |
1時間未満 | 61単位 | 128単位 |
1時間以上2時間未満 | 92単位 | 192単位 |
2時間以上 | 123単位 | 256単位 |
放課後等デイサービスにおける延長支援加算の算定状況
厚生労働省のデータによると、令和元年6月の1か月間における延長支援加算の算定状況は、全事業所の13.5%。つまり、約1割の事業所が算定していることになります。
運営主体別の算定状況は、次のとおりです。
運営主体 | 延長支援加算の算定率 |
社会福祉協議会 | 19.1% |
社会福祉法人 | 17.5% |
NPO法人 | 17.3% |
医療法人 | 14.0% |
営利法人 | 11.6% |
その他 | 10.0% |
自治体 | 6.0% |
この表から、社会福祉協議会や社会福祉法人などによる算定が多いことがわかります。この背景には、延長支援を行えるような受け入れ体制が整っていること、算定に係る手続きや書類の準備に精通していることなどが挙げられるでしょう。
延長支援加算をはじめとした加算の算定では、算定要件の把握や書類の準備に労力がかかります。事業者だけでは対応しきれない部分は、専門の税理士へ相談してみるのもひとつの方法です。
まとめ
放デイの延長支援加算は、1日当たり約60~260単位を追加で算定できます。ただし、延長支援を行えるような余裕のある人員配置が必要です。開業や経営でお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献