令和5年に、神戸市の就労継続支援B型で給付金詐取事件が起きました。これを受けて、読売新聞は全国の自治体を対象に不正受給の有無を調査した結果、驚くべき状況が明らかになっています。
そこで今回は就労継続支援B型における不正受給について、現状や原因はもちろん、事業者側ができる防止策を紹介します。
就労継続支援B型の不正受給は直近10年間で9億円超
読売新聞が就労継続支援B型について調査したところ、全国136自治体で合計9億円を超える不正受給がありました。うち、不正受給があったのは42自治体です。額が大きかった自治体TOP5は、下表のとおりとなっています。
自治体 | 不正受給額※ |
東京都 | 2億3,000万円 |
大分県 | 9,700万円 |
横浜市 | 6,300万円 |
愛媛県 | 6,000万円 |
愛知県 | 4,900万円 |
※100万円未満は切り捨て
大阪府でも八尾市で2,500万円、東大阪市で2,400万円と少なくない額の不正受給があったとのことです。
就労継続支援B型の不正受給が相次ぐ要因
就労継続支援B型の不正受給が相次ぐ要因は、主に以下の2つです。
- 申請書類は体裁の確認で手一杯な状況になっている
- 国が指針で示している訪問指導が実施できていない
上記のような状況が発生しうる原因は、自治体のチェック体制が事業所の急増に追いついていない点にあります。実際、就労継続支援B型は下表のように、事業所数は右肩上がりです。
事業所数 | |
令和2年 | 13,613か所 |
令和3年 | 14,607か所 |
令和4年 | 15,748か所 |
就労継続支援A型は令和4年で4,323か所とその差は明らかであり、就労継続支援B型に参入する事業者がいかに多いかがわかります。
就労継続支援B型の不正受給を防ぐ方法
意図せぬ不正受給を防ぐためには、事業者側も指定申請や報酬請求時の書類をきちんと整えることが大切です。とくに、令和6年度には報酬改定もあり、平均工賃月額の算出方法が変わったり、短時間利用が多い場合の減算が設けられたりと大きな変化がありました。
適正な運営と経営を継続するためには、時として専門家の力を借りるのも1つの方法です。就労継続支援B型をはじめとした障がい福祉サービスに精通する税理士・行政書士などへ相談することで、意図せぬ不正受給を防ぐうえ、経営の安定化を図りやすくなるでしょう。
まとめ
就労継続支援B型の不正受給は全国で散見され、制度設計の見直しを求める声も大きくなっています。
新しい制度へ臨機応変かつ正確に対応するためにも、書類作成などでお悩みの方は、就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献