居宅介護の対象者は多岐にわたり、利用者数が年々増加している現状があります。これから開業を予定している方は、サービスの提供相手をよく知り、必要な知識や技術を身に付けることが大切です。
そこで今回は居宅介護の対象者について、障がい種別や区分の要件はもちろん、利用者数の推移や現状を紹介します。
居宅介護の対象者とは?
居宅介護の対象となる障がい種別や区分は、下表のとおりです。
障がい種別 | 障がい支援区分 |
・身体障がい
・知的障がい ・精神障がい ・難病等 |
原則、区分1以上
(障がい児は区分1相当の支援が必要な者) |
なお、通院等介助のうち身体介護を伴う場合は、受ける場合は、以下の要件を満たす必要があります。
- 障がい支援区分が2以上
- 障がい支援区分の認定調査項目で、所定項目のいずれか1つ以上認定
認定調査の該当項目は、下表のとおりです。
全面的な支援が必要 | 部分的な支援が必要 | 見守り等の支援が必要 | |
歩行 | 〇 | — | — |
移乗 | 〇 | 〇 | 〇 |
移動 | 〇 | 〇 | 〇 |
排尿 | 〇 | 〇 | — |
排便 | 〇 | 〇 | — |
たとえば、区分3で「移動に部分的な支援が必要」と認定されている場合は、身体介護を伴う通院等介助を利用できます。
居宅介護の対象者における現状
居宅介護の対象者における現状について、それぞれ見ていきましょう。
利用者数の推移
ひと月平均の利用者数は、下表のとおりです。
利用者数 | 事業所数 | |
令和2年 | 185,183人 | 20,591か所 |
令和3年 | 192,419人 | 21,064か所 |
令和4年 | 197,344人 | 21,580か所 |
利用者数・事業所数ともに増加傾向が続いており、需要の高さがうかがえます。なお、令和5年4月時点における障がい者・障がい児の割合は、下表のとおりです。
利用者数 | 割合 | |
障がい者 | 192,980人 | 96.1% |
障がい児 | 7,803人 | 3.9% |
合計 | 200,783人 | 100.0% |
障がい者の利用が圧倒的に多く、障がい児の割合は5%にも満たない状況です。障がい児は居宅訪問型児童発達支援など、児童福祉サービスの利用が主であることが影響していると推測されます。
障がい支援区分別の推移
障がい支援区分別の利用者割合は、下表のとおりです。
令和2年12月 | 令和3年12月 | 令和4年12月 | |
区分なし(障がい児) | 4.0% | 3.9% | 2.8% |
区分1 | 2.9% | 2.7% | 2.5% |
区分2 | 29.0% | 28.7% | 28.4% |
区分3 | 25.8% | 25.8% | 25.9% |
区分4 | 13.9% | 14.1% | 14.4% |
区分5 | 8.8% | 8.8% | 8.9% |
区分6 | 15.6% | 15.9% | 16.1% |
区分2・3の利用者が50%以上を占めています。また、区分3以上が増えており、とくに区分6の増加率が高いことから、重度障がい者からの需要も高まっているといえるでしょう。
障がい種別
1事業所あたりの利用者数を障がい種別で見ると、下表のようになっています。
障がい者 | 障がい児 | |
身体障がい | 4.13人 | 0.25人 |
知的障がい | 1.21人 | 0.08人 |
精神障がい | 3.32人 | 0.02人 |
難病等 | 0.13人 | 0.01人 |
合計 | 8.79人 | 0.36人 |
身体障がい者・児の利用率が高く、身体介護の需要が大きいといえるでしょう。
まとめ
居宅介護の対象者は障がい支援区分1以上であり、障がい種別や程度は多岐にわたります。開業準備や指定申請でお悩みの方は、居宅介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献