複数の障がい福祉サービスが一体的に展開される多機能型事業所は、利用定員の下限や人員確保のハードルが下がるメリットがあります。
しかし、あまり馴染みがない方からすると「どのような事業形態なのか」「生活介護も同時に運営できるのか」など疑問があるでしょう。そこで今回は多機能型事業所の基礎知識を踏まえながら、令和6年度の改定内容といった最新情報も紹介します。
生活介護は多機能型事業所に含められる?
結論から言うと、生活介護は多機能型事業所に含められます。そもそも多機能型事業所とは下表に挙げる事業のうち、2つ以上を一体的に行う形態です。
障がい者総合支援法 | 児童福祉法 |
生活介護
自立訓練(機能訓練) 自立訓練(生活訓練) 就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型 |
児童発達支援
医療型児童発達支援 居宅訪問型児童発達支援 放課後等デイサービス 保育所等訪問支援 |
多機能型事業所の指定要件は、下記のようになっています。
概要 | |
利用定員 | ・事業所全体で20人以上※
・各事業で一定数以上 →就労継続支援以外:6人以上 →就労継続支援:10人以上 |
サービス提供職員の配置 | 全体の利用者が20人未満の場合、従業員1人以上を常勤とすることで、他の従業員は兼務可 |
サビ管の配置 | 全体の利用定員数に応じて配置
・利用者60人以下:1人以上 ・利用者60人以上:40人増すごとに1人加えた数以上 |
設備 | サービス提供に支障ない範囲で兼用可能 |
※主として重症心身障がい児・者を通わせる場合は、5人以上
なお、事業所の指定は事業の種類ごとに行います。そのため、新たに事業を加える際は事業変更ではなく、「多機能型事業所のもとで追加指定する」という扱いになる点に留意しましょう。
生活介護の基本報酬が多機能型も考慮した区分へ見直し
基本報酬は従来、事業所全体の定員規模に応じた単価が適用されていました。しかし、障がい児通所支援では利用定員5名から評価する一方で、生活介護の評価区分は20名からだったのです。
そこで令和6年度の報酬改定では、重症心身障がい児・者に対応する多機能型事業所に配慮し、20名以下の報酬区分も細分化されました。具体的には、以下の3つが追加されています。
- 5名以下
- 6名以上10名以下
- 11名以上20名以下
生活介護の基本報酬は20名以上の区分も細分化されており、かつサービス提供時間による評価も加わりました。今回の報酬改定でもっとも大きな見直しの1つでもあるため、開業者・事業者は入念にチェックしましょう。
まとめ
生活介護は多機能型事業所に含められますが、事業内容が多岐にわたると加算の算定など事務処理の煩雑さが増します。
多機能型のメリットを享受しつつ、正確な経理処理で収益をアップさせたい方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献