生活介護の開業にはさまざまな人員が必要であり、医師もそのうちの1つです。未配置の状態が発生すると減算が適用され、収益減となります。
そこで今回は生活介護の医師未配置減算について、適用条件や減算率のほか、実地指導に向けた対策などを紹介します。
生活介護の医師未配置減算とは?
同減算の適用条件と減算率は、それぞれ以下のとおりです。
適用条件
同減算は医師が未配置と判断される状態、つまり以下を満たしていない場合に適用されます。
- 健康管理や指導を目的として来所する(原則月1回以上)
- 利用者の障がい特性などに応じて対応する(1回あたり1~3時間程度)
生活介護の医師は常勤要件がなく嘱託でも可とされていますが、下記の状態にあると実質的な協力医療機関とみなされ、同減算が適用されます。
- 健康診断や予防接種のためだけに来所する
- 嘱託契約しているものの、勤務実態がほとんどない
減算率
同減算の減算率は、利用者1人あたり12単位です。減算期間は、下表のようになっています。
適用開始日 | 医師の配置がなくなった翌日 |
適用終了日 | 【変更届を15日までに提出した場合】
翌月1日 【変更届を16日以降に提出した場合】 翌々月1日 |
たとえば、利用者数が20人の場合、1日あたりの減算は以下のように算出できます。
減算数×人数×地域区分(10円)
=12単位×20人×10円
=2,400円
これがひと月20日営業の事業所であれば、月に約5万円、年に約60万円の減額です。減算率が小さいからといって放置せず、医師未配置の状況は未然に防ぎ、万が一発生したとしても早期に対応しましょう。
生活介護における医師未配置減算の実地指導対策
実地指導で同減算の適用されないよう、以下の書類には配置医師の勤務予定や勤務実績を明記してください。
- 従業者の勤務体制
- 勤務形態一覧表
- 出勤簿 など
基本報酬の算定時に提出する書類だけではなく、出勤簿など事業所に備え付ける書類にも記載が必要なため、忘れずに対応しましょう。
生活介護で医師を配置しなくてもよいケース
生活介護で医師を配置しない取扱いができるのは、以下の2つを満たす場合です。
- 看護師などが利用者の健康状態を把握し、健康相談にものっている
- 必要時は医療機関への通院などをサポートしている
ただし、上記の体制でも医師未配置減算は適用されます。医師の配置は利用者満足度にも影響しやすいため、最低限、嘱託契約をして減算を回避したほうがよいでしょう。
まとめ
生活介護の医師未配置減算は1日あたりの減算率が小さいものの、未配置の状態が続くと報酬から差し引かれる金額が非常に大きくなります。人員配置や経営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献
厚生労働省|自己点検チェックのための生活介護事業ガイドライン案