インボイス制度とは、消費税を正しく算出・伝達するために設けられた制度です。令和5年10月1日から開始したものの、「請求書はどのように書けばよいのか」など不安がある方も多いでしょう。
そこで今回はインボイス制度のもとで発行する適格請求書について、記載事項などの基礎知識や留意点を紹介します。
インボイス制度の適格請求書とは?
まずは適格請求書の基礎知識として、要件や記載事項などを見ていきましょう。
要件
適格請求書を発行できるのは、インボイス制度の登録申請を済ませた事業者のみです。免税事業者でも2029年9月30日までに登録申請すれば、課税事業者への移行と発行資格の取得を同時に済ませられます。
記載事項
インボイス制度にのっとって適格請求書を発行する際に必要な記載事項は、以下のとおりです。
- インボイス発行事業者の氏名または名称
- 登録番号
- 取引年月日
- 取引内容
- 適用税率
- 消費税など
- 交付を受ける事業者の氏名または名称
なお、簡易インボイスでは5.と6.はいずれかで十分であり、7.は不要となります。また、帳簿には以下の記載が必要です。
- 課税仕入れの相手方の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 金額
請求書や帳簿には「※」などの記号を使って、軽減税率対象品目を明確にしましょう。
保存期間
適格請求書の保存期間は、一定条件を満たした日を起点とした7年間です。一定条件とは、適格請求書を発行した日が属する課税期間、かつその最終日翌日から2か月が経過した日を指します。
たとえば、2023年11月10日に適格請求書を発行した場合、保存期間は以下のように導き出せます。
- 課税期間の最終日:2023年12月31日
- 上記の翌日:2024年1月1日
- 上記から2か月が経過した日:2024年3月1日
つまり、上記の適格請求書における保存期間は、2024年3月1日から7年間です。
インボイス制度で適格請求書を発行するときの留意点
適格請求書を発行する際の留意点は、主に以下の3つです。
- 様式は定められていないものの、必要事項は必ず記載する
- 適格請求書は書面だけでなく、電子データでも授受できる
- 複数の書類全体で記載事項を満たす場合は、それらを1つの適格請求書とできる
とくに、近年では電子帳簿保存法の改定にともない、電子データでの授受や保存は適格請求書でも重要になってくると推測されます。導入準備や運用について不安がある場合は、インボイス制度と電子帳簿保存法の双方に精通した専門税理士へ相談するとよいでしょう。
まとめ
インボイス制度の適格請求書は、記載事項や保存期間などにルールがあります。請求書の作成方法などについてお悩みの方は、インボイス制度にも強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献