就労継続支援B型では、就労に必要な知識や技術だけでなく、社会的マナーの習得も支援します。そこで用いられる手法が、「SST(生活技能訓練)」です。
今回は、就労継続支援B型の開業者・運営者が知っておきたい「SST」の基礎知識や、具体例などを紹介します。
就労継続支援B型でも活用される「SST」とは
SSTの正式名称は、「ソーシャルスキル・トレーニング」。日本語では、「生活技能訓練」や「社会生活技能訓練」と表現されます。
もともとは、1940年ころから精神科領域などで発展し、日本でも1994年ころに診療報酬化されたことで一段と注目を集めることとなりました。現在では精神科領域はもちろん、就労支援や教育、更生保護など、さまざまな領域で用いられています。
SSTで得られる効果や具体的な方法は次のとおりです。
【SSTの効果】
- コミュニケーション能力の向上
- 相手の気持ちを考える力の育成
- 服薬や症状の自己管理能力の向上 など
【SSTの方法】
- ディスカッション
- ロールプレイ
- ゲーム
- 共同作業(工作、調理など)
- ソーシャルストーリー
なお、「ソーシャルストーリー」とは、絵とともに書かれた短いテキストを読むことで、その場面にふさわしい振る舞い方を学ぶ方法です。利用者に合わせてアレンジすることで、その方の無意識下で問題となっている言動を顕在化させ、振る舞い方を見直す効果が期待できます。
就労継続支援B型で行われるSSTの例
就労継続支援B型で行うSSTとしては、主に「グループディスカッション」や「ロールプレイ」が挙げられるでしょう。
グループディスカッションではテーマに沿った話し合いを通して、「互いの意見を尊重する」ことや、「相手の意見を批判しないように、自分の意見も伝える」といったことを学びます。
また、ロールプレイでは、作業時に必要とされるような「お礼や頼み事の伝え方」や、「上手な断り方」などの学習も可能。このほか、あいさつや会話など、日常の中で自然と取り入れるSSTも多く活用されています。
まとめ
SST(生活技能訓練)は、就労に必要な社会的マナーなどを習得する上で効果的な手法です。SSTに力を入れることで、就労継続支援A型への移行など利用者のステップアップはもちろん、事業所の質の向上や対外的な評価も高まるでしょう。運営や利用者確保などでお悩みの方は、就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献