より質の高いサービスの提供に向けて、たびたび行われる障がい福祉分野の「報酬改定」。事業収益に直結する部分でもあるため、就労継続支援B型の運営者や経理も最新の情報に気を配る必要があります。
そこで今回は令和3年度に行われた就労継続支援B型の報酬改定について、見直された項目や新設された加算を紹介します。
就労継続支援B型の報酬改定①基本報酬の見直し
就労継続支援B型の報酬改定では、従来の平均工賃月額に応じた報酬体系に加え、新たな報酬体系が追加されました。事業者は毎年4月に、どちらの報酬体系を選ぶかを決定する必要があります。なお、年度途中での変更はできません。
それぞれの報酬体系については、次のとおりです。
従来型
従来より適用されていた「平均工賃月額に応じた報酬体系」は、よりきめ細かい実績評価のために、さらに細分化されることになりました。具体的には、次のような7段階評価から8段階評価へ変更。これにより、高工賃の事業所をさらに評価する見直しとなっています。
例えば、定員20名以下、人員配置基準が7.5:1の就労継続支援B型では次のような報酬体系となります。
平均工賃月額 | 単価 |
4.5万円以上 | 702単位/日 |
3.5万円以上4.5万円未満 | 672単位/日 |
3万円以上3.5万円未満 | 657単位/日 |
2.5万円以上3万円未満 | 643単位/日 |
2万円以上2.5万円未満 | 631単位/日 |
1.5万円以上2万円未満 | 611単位/日 |
1万円以上1.5万円未満 | 590単位/日 |
1万円未満 | 566単位/日 |
新設型
令和3年度の報酬改定では、「利用者の就労や生産活動等への参加等を評価する報酬体系」も新設されました。報酬単価は「定員20人以下で556単位/日」。
新設型の報酬体系では、後述の「地域協働加算」や「ピアサポート実施加算」と組み合わせることで、従来の報酬体系の最低水準とほぼ同等になります。そのため、利用者の障がい特性などにより高工賃が難しい事業所でも、ある程度の報酬を得られるようになるということです。
就労継続支援B型の報酬改定②加算の新設
令和3年度の報酬改定では、次の3つの加算が新設されました。
地域協働加算:30単位/日
就労や生産活動を実施する際に、地域や地域住民と協働した事業所を評価する加算です。
ピアサポート実施加算:100単位/月
利用者の不安の解消や意欲向上などを目的に、ピアサポートによる支援を実施する事業所を評価する加算です。
就労移行連携加算:1000単位(1回のみ算定可能)
就労継続支援を受けた後、就労移行支援の支給が決定した利用者が1名以上いる場合に算定できます。ただし、「支給決定期間の開始日の前日から3年以内」に、以前の支給決定を受けていた場合は算定できません。
例:「2022年12月」に就労移行支援の支給が決定
前回の支給決定が「2019年11月より前」でない場合は算定不可
まとめ
参考文献
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容|厚生労働省
新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について|厚生労働省
令和3年度報酬改定 ~就労継続支援B型~ 基本報酬が2つの類型になりました – 障がい福祉事業サポート大阪 (fukushi-mirai.net)