定期的に行われる、障がい福祉サービスの「報酬改定」。改定内容に慣れてきたころには、新たな報酬改定が実施され、混乱する事業者も多いことでしょう。
そこで今回は、これまで行われた報酬改定の経緯を踏まえながら、令和3年度に行われた障がい者グループホームの報酬改定について紹介します。
障がい福祉サービス等報酬改定の経緯
過去5年に行われた障がい福祉サービス等の報酬改定は、次のとおりです。
改定時期 | 主な改定内容 |
平成29年度 | ・障がい福祉人材の処遇改善 |
平成30年度 | ・障がい者の重度化・高齢化を踏まえた、地域移行・地域生活の支援
・医療的ケア児への対応等 ・精神障がい者の地域移行の推進 ・就労系サービスにおける工賃・賃金の向上、一般就労への移行促進 ・障がい福祉サービスの持続可能性の確保 |
令和元年度 | ・障がい福祉人材の処遇改善
・消費税率の引上げ(10%)への対応 |
改定率は「+0.47%〜+2.0%」で推移。過去には「+5.1%」と大きな改定率を上げた年度もあったものの、近年は最高でも「2.0%」の改定率に留まっています。
障がい者グループホームにおける5つの報酬改定
令和3年度に施行された報酬改定のうち、障がい者グループホームにかかわるものは次の5つです。
①重度障がい者支援加算の対象者拡充
障がい支援区分4以上の強度行動障がい者を対象とする、「重度障がい者支援加算Ⅱ」が新設されました。360単位/日のⅠに対し、Ⅱは180単位/日です。
②医療的ケアが必要な者に対する評価
看護職員を配置することで加算を算定できる「医療的ケア対応支援加算」を新設。算定することで、120単位/日の報酬を得られます。
③強度行動障がいを有する者の受け入れ促進
400単位/日の「強度行動障がい者体験利用加算」を新設。強度行動障がい者の体験利用を受け入れる際、強度行動障がい支援者養成研修や行動援護従事者養成研修の修了者を配置することで算定できます。
④基本報酬の見直し
重度障がい者の受け入れ状況などを踏まえ、サービス類型ごとに基本報酬の見直しが行われました。特に、日中サービス支援型では、重度障がい者の受け入れのインセンティブが働くよう、障がい支援区分3の単位を減らし、区分4〜6の単位を増やしています。
⑤夜間支援等体制加算の見直し
従来の夜間支援等体制加算Ⅰ~Ⅲに加え、Ⅰに上乗せして算定できる「夜間支援等体制加算Ⅳ~Ⅵ」を新設。それぞれ、夜勤職員や宿直職員の追加配置で算定できます。
まとめ
報酬改定による加算の新設や単位の見直しなどは、障がい者グループホームの収益に直結するものです。報酬改定の情報が入ったら、スムーズに対応できるよう、準備する必要があります。報酬改定や経営についてお悩みの方は、障がい者グループホームに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献