居宅介護の収益は、基本報酬や加算の算定から得られます。令和6年度には報酬改定があり、開業者や事業者は見直された点をしっかり把握し、事業運営に反映することが大切です。
そこで今回は報酬改定があった加算の中から、特定事業所加算をピックアップします。算定要件や報酬単価のほか、算定状況も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【令和6年度】居宅介護の特定事業所加算とは?
同加算の算定要件と報酬単価は、それぞれ以下のとおりです。
算定要件
居宅介護における特定事業所加算の算定要件は、下表のとおりです。
(Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) | (Ⅳ) | ||
体制要件 | ①従業者ごとに策定した研修計画に基づく研修の実施 | 〇 | 〇 | 〇 | — |
②利用者の情報やサービス提供に関する定期的な会議の開催 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
③サ責から担当従業者に対する、情報伝達や報告 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
④従業者に対する健康診断の定期的な実施 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
⑤緊急時対応の明示 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
⑥熟練した従業者による、新規採用者への同行研修 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
⑦サ責ごとに作成された研修計画に基づく研修の実施 | — | — | — | 〇 | |
人材要件 | ⑧介護福祉士の占める割合が30%以上、他※1 | 〇 | △※3 | — | — |
⑨すべてのサ責が所定の資格保有者、あるいは研修修了者※2 | 〇 | △※3 | — | — | |
⑩(2人以上の配置義務がある事業所)常勤のサ責を2人以上配置 | 〇 | △※3 | — | — | |
⑪(2人以上の配置義務がある事業所)サ責を常勤で配置、かつ基準を上回る数のサ責を1人以上配置 | — | — | — | 〇 | |
重度者対応要件 | ⑫区分5以上や、喀痰吸引などを必要とする障がい者・重症心身障がい児・医療的ケア児が30%以上 | 〇 | — | 〇 | — |
⑬区分4以上や、喀痰吸引などを必要とする障がい者・重症心身障がい児・医療的ケア児が50%以上 | — | — | — | 〇 |
※1 所定の研修修了者が50%以上、あるいは一定期間の常勤従業者が40%以上など
※2 3年以上の実務経験がある介護福祉士、5年以上の実務経験がある実務者研修修了者など
※3 特定事業所加算(Ⅱ)ではいずれかの該当が必要
居宅介護では障がい児も対象となることから、重度者対応要件に「重症心身障がい児・医療的ケア児」が追加されました。
報酬単価
居宅介護における特定事業所加算の報酬単価は、下表のとおりです。
報酬単価 | |
(Ⅰ) | 基本報酬+20% |
(Ⅱ) | 基本報酬+10% |
(Ⅲ) | 基本報酬+10% |
(Ⅳ) | 基本報酬+5% |
たとえば、1時間以上1時間30分未満の身体介護を週3回受けている利用者の場合、ひと月あたりの報酬額は以下のように算出できます。
【基本報酬】
報酬単価×回数×地域区分(10円)
=587単位×12回×10円
=70,440円
【特定事業所加算】
基本報酬×20%
=70,440円×0.2
=14,088円
つまり、合算すると84,528円の報酬額となります。
居宅介護における特定事業所加算の算定状況
日本知的障がい者福祉協会によると、同加算の算定状況は下表のとおりです。
算定割合 | |
(Ⅰ) | 22.0% |
(Ⅱ) | 23.7% |
(Ⅲ) | 2.3% |
(Ⅳ) | 0% |
受けていない | 47.4% |
無回答 | 4.6% |
ただし、上記は報酬改定前のデータであるため、見直しがあった重度者対応要件に関わる(Ⅰ)(Ⅲ)(Ⅳ)は算定割合の変動が起きると推測されます。
まとめ
居宅介護の特定事業所加算は、令和6年度の報酬改定で要件の見直しが若干ありました。加算の算定や経営でお悩みの方は、居宅介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献