高次脳機能障がいとは脳の一部が損傷したことにより、記憶や言語といった脳機能に支障をきたすものです。外見からはわかりにくい障がいではあるものの、当人は生活のしにくさを感じる場面が多く、支援の必要性は高い傾向にあります。
そのような方々を支援した際に算定できるのが、令和6年度の報酬改定で新設された高次脳機能障がい者支援体制加算です。そこで今回は、同加算の算定要件や報酬単価などを紹介します。
生活介護の高次脳機能障がい者支援体制加算とは?
同加算の算定要件と報酬単価は、それぞれ以下のとおりです。
算定要件
同加算は、以下の要件を満たすことで算定できます。
- 高次脳機能障がいを持つ利用者が全体の30%以上
- 一定の条件(※)を満たした従業員を、利用者50人につき1人以上配置
- 上記2つの情報を公表
※高次脳機能障がい支援者養成研修を修了
所定の研修は、国立障がい者リハビリテーションセンターをはじめ、各都道府県で開催されています。近年ではオンライン開催もあるため、以前よりも受講のハードルは低いといえるでしょう。
報酬単価
同加算の報酬単価は、41単位/日です。たとえば、ひと月の営業日数が22日の事業所であれば、以下のように報酬額を算出できます。
報酬単価×営業日数×地域区分(10円)
=41単位×22日×10円
=9.020円
つまり、1年では約11万円の収益となります。
生活介護の利用者に高次脳機能障がい者は多い?
厚生労働省のデータによると、各障がいの実利用者数は下表のようになっています。
障がい種別 | 生活介護(障がい者支援施設/通所型事業所) |
身体障がい
(うち高次脳機能障がい) |
5.8人
(0.3人) |
知的障がい | 21.0人 |
精神障がい | 1.1人 |
難病など | 0.2人 |
合計 | 28.0人 |
他の障がいにくらべると、高次脳機能障がい者は非常に少ないのが現状です。しかし、脳血管手術やリハビリ手技の開発が進んだことで地域に戻れる障がい者が増えた分、高次脳機能障がいが地域生活の障壁になるケースが増えています。
とくに通所型の生活介護は在宅生活を続ける利用者にとって、専門職から支援を受けられる重要な機会です。利用率の維持・向上に向けて、同障がいを支援できる従業員の確保は今後ますます必要になってくるでしょう。
まとめ
生活介護で新設された高次脳機能障がい者支援体制加算は、比較的算定ハードルが低い加算の1つです。加算の算定や経営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献
厚生労働省|自己点検チェックのための生活介護事業ガイドライン案