生活介護で食事を提供すると、加算を算定できるケースがあります。しかし、令和6年度の報酬改定にともない、その算定要件は大きく変化しました。
そこで今回は生活介護の食事提供体制加算について、最新情報を踏まえながら紹介します。新設された関連加算もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
生活介護の食事提供体制加算とは?
同加算の算定要件と報酬単価は、それぞれ以下のとおりです。
算定要件
同加算は収入が一定額以下の利用者に対して、事業所内あるいは外部委託などを通じて調理・食事提供した場合に算定できます。利用者の要件は、以下の3つです。
- 生活保護受給世帯
- 市町村民税非課税世帯
- 所得割16万円未満
なお、令和6年3月31日までとしていた食事提供体制加算の経過措置は、最新の報酬改定によって令和9年3月31日まで延長されました。また、従来の要件に加え、以下1.~3.のすべてを満たす必要があります。
- 献立作成について、以下のいずれかを満たす
- 管理栄養士あるいは栄養士が献立作成に関わる
- 保健所などの管理栄養士あるいは栄養士が栄養面を確認している
- 利用者ごとの摂食量を記録している
- 利用者ごとの体重やBMIを記録している(おおむね6か月に1回)
上記より、単なる食事提供だけではなく、栄養面への配慮を一層評価する加算へ見直されたといえるでしょう。
報酬単価
同加算の報酬単価は、30単位/日です。たとえば、以下に挙げる条件で報酬額を算出してみましょう。
- 対象者:10名
- 利用日数:それぞれ3回/週、12回/月
報酬単価×日数×人数×地域区分(10円)
=30単位×12日×10人×10円
=36,000円
次項で紹介する新設加算も算定できれば、食事提供で生じる費用を補てんしやすくなるでしょう。
【令和6年度】食事提供体制加算に関連して新設された加算
令和6年度の報酬改定では、食事提供に関連して以下に挙げる2つの加算が新設されました。
栄養スクリーニング加算 | 栄養改善加算 | |
算定要件
(概要) |
利用者の栄養状態を確認し、相談支援専門員へ情報提供する | 低栄養や過栄養状態にある、あるいはそのおそれがある利用者に対して、状態改善に向けた栄養管理を行う |
報酬単価 | 5単位/回 | 200単位/回 |
算定回数の上限 | 6か月に1回 | 月2回 |
栄養スクリーニング加算は、一見すると報酬単価が非常に少なく見えます。しかし、対象者は利用者全員となるうえ、算定のハードルが低いため、必ず押さえておきたい加算の1つといえるでしょう。
まとめ
生活介護の食事提供体制加算は、令和6年度の報酬改定により算定のハードルがやや上がりました。しかし、関連加算も新設されたため、算定体制をきちんと整えることで大きな収益アップにつながる可能性があります。
加算の算定や経営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献