インボイス制度は、消費税を正しく算出・伝達するために設けられた新しい制度です。しかし、事業者の中には「よくわからないうちに、制度が始まってしまった」「結局、どのようなメリット・デメリットがあるのか」など、不安を抱えている方もいるでしょう。
そこで今回はインボイス制度のメリット・デメリットを踏まえながら、影響が少ない事業について紹介します。
インボイス制度に登録するメリット
インボイス制度に登録するメリットは、以下の2つです。
電子化によってさまざまなコストを削減できる
インボイス制度に登録すると、電子インボイスによってさまざまなコストを削減できます。電子インボイスとは、メールなど電磁的なデータで送付する適格請求書です。
紙媒体へ印刷しない分、郵送や印刷の準備が不要となり、新たに保管スペースを確保する手間も減ります。請求書の準備や保管にかかる人的・金銭的コストを削減できる点は、業務効率化にも大きく寄与するでしょう。
取引を継続してもらいやすくなる
インボイス制度の登録には、取引を継続してもらいやすくなるメリットもあります。仕入税額控除が適用されるのは、取引先も課税事業者としてインボイス制度に登録している場合です。
そのため、インボイス制度に登録するだけで、取引の継続において免税事業者よりも優位な立場になりやすいといえます。メリットを確実に得るためにも、関連書類のフォーマットはインボイス制度に沿ったものへ変更し、対応体制を整えておくことが大切です。
インボイス制度に登録するデメリット
インボイス制度に登録するデメリットは、以下の2つです。
経理処理が複雑になる
インボイス制度に登録すると、一時的に経理処理が増え煩雑になりやすい点がデメリットになります。
- 請求書への記載事項が増える
- 適格請求書か否かによって振り分け管理する必要がある
- 税額の計算方法(※)を変えると、慣れるまでに時間がかかる など
※割戻し計算のほか、積上げ計算も選択できる
走り出したあとに予期せぬトラブルや業務停滞が起きないよう、上記はあらかじめ想定したうえで必要な準備を進めておきましょう。
取引先によっては仕入税額控除額が減る
取引先が免税事業者のままだと、仕入税額控除を適用できない点もデメリットです。6年間の経過措置によって50〜80%の控除は受けられるものの、従来より金額が減るのには変わりありません。
継続している取引先はもちろん、新たに関係を持つ相手も課税・免税についてよく確認しましょう。ただし、インボイス制度自体、多くの反対の声を押し切っての開始となっているため、今後の動向を注視することも大切だといえます。
インボイス制度のメリット・デメリットが少ないのは?
インボイス制度の影響が少ないのは、取引先が個人消費者の事業です。
- 美容院
- 学習塾
- 医療機関 など
障がい福祉サービスの場合も、ほとんどの事業は影響が少ないといえます。ただし、以下に該当する場合はインボイス制度への対応が必要になるケースがあります。
- 就労継続支援など売上が発生する授産・生産活動を実施している場合
- 障がい福祉サービス以外に収益事業を営んでいる場合
「どのような影響があるのか」など疑問・不安がある方は、専門税理士への相談がおすすめです。
まとめ
インボイス制度のメリット・デメリットは、営む事業や取引先によって異なります。登録可否などについてお悩みの方は、インボイス制度にも強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献