就労移行支援の利用料は原則1割負担とはいえ、収入が少ない利用者にとっては大きな出費です。健全な事業所運営を進めるためには、事業者側も利用料について理解を深め利用者が納得できる説明をする必要があります。
そこで今回は就労移行支援の利用料について、1日の利用額や負担上限額、減免措置などを紹介します。
就労移行支援の利用料①1日にかかる金額
就労移行支援で1日にかかる金額の概算は、基本報酬をもとに算出できます。
就労定着率(就職後6ヶ月以上定着率) | ||||||||
5割以上 | 4割以上5割以下 | 3割以上4割以下 | 2割以上3割以下 | 1割以上2割以下 | 0割以上1割以下 | 0割 | ||
利用定員 | 20人以下 | 1,128 | 959 | 820 | 690 | 557 | 507 | 468 |
21人以上40人以下 | 1,035 | 863 | 725 | 631 | 506 | 448 | 414 | |
41人以上60人以下 | 1,003 | 838 | 693 | 596 | 497 | 428 | 395 | |
61人以上80人以下 | 948 | 797 | 646 | 544 | 476 | 400 | 369 | |
80人以上 | 915 | 760 | 607 | 498 | 460 | 374 | 346 |
※単位表記を省く
たとえば、利用定員が15人、就労定着率5割以上の場合を考えてみましょう。
基本報酬×地域区分(10円)
=1,128単位×10円×0.1
=33,840円
利用者負担は原則1割のため、実際にかかる料金は3,384円と計算できます。なお、基本料金以外にも、別途実費のかかるものが以下の項目です。
- 昼食代
- 交通費
- テキスト代
- 資格受験代
- 診断書(医師の意見書)の発行費用
項目によっては事業所が負担することで無料にしているものや、自治体の補助金を利用できるものがあります。
就労移行支援の利用料②負担上限額
就労移行支援の利用料は、世帯収入によって上限が設定されています。この場合の世帯収入とは、利用者が18歳以上の場合は独身だと本人のみ、既婚者の場合は本人と配偶者の合計額のことです。同居している親や兄弟は同世帯として計算されないため、注意しましょう。
利用額が負担上限額に達すれば、当月での支払いはそれ以上発生しません。具体的な上限額は、下表のとおりです。
所得区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村税課税世帯(収入が概ね600万円以下) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
ただし、厚生労働省が発表している障がい福祉サービスの利用状況によると、生活保護者と低所得者の合計は全体の9割を占めています。つまり、利用者全体の約9割が無料で利用している状況です。
就労移行支援の利用料③減免措置
就労移行支援の利用料には、次のようにさまざまな減免制度があります。
- 昼食代の軽減
- 交通費の補助
- 高額障がい福祉サービス等給付費
- グループホーム利用者の家賃補助
- 生活保護への移行防止
- 特別な事情による減免
多くの制度は市町村への申請が必要ですが、一部申請不要のものもあり利用しやすくなっています。また、所得が少なく日常生活に支障がある方は、「生活福祉資金」という制度の利用も可能です。ただし、貸付金のため返済が必要な点には留意しましょう。
まとめ
就労移行支援の利用料は、基本報酬から概算を算出できます。利用者から実費で徴収するものもありますが、あまり高くなりすぎないように配慮することが大切です。
集客や経営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献