放課後等デイサービス(放デイ)の人員配置基準では、重症心身障がい児以外を通わせる場合、看護職員の配置は必須ではありません。しかし、医療機関などと連携しながら看護職員から支援あるいは指導してもらうことで、医療連携体制加算を算定できます。
そこで今回は医療連携体制加算の算定要件や報酬単価、算定時の注意点を紹介します。
放課後等デイサービスの医療連携体制加算とは?
医療連携体制加算の算定要件や報酬単価は、それぞれ次のとおりです。
算定要件
医療連携体制加算は7つに分かれており、それぞれ要件が異なります。
実施内容 | 看護時間 | その他要件① | その他要件② | |
(Ⅰ) | ・看護職員が放デイに訪問 | 1時間未満 | 医療的ケア区分1~3や重症心身障がい児の基本報酬算定しない | — |
(Ⅱ) | 1時間以上
2時間未満 |
|||
(Ⅲ) | 2時間以上 | |||
(Ⅳ) | 4時間未満※1 | 医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を算定しない | ||
(Ⅴ) | 4時間以上※1 | 医療連携体制加算(Ⅲ)を算定しない | ||
(Ⅵ) | ・看護職員が放デイに訪問
・看護職員が認定特定行為業務従事者に喀痰吸引などを指導 |
— | — | |
(Ⅶ) | ・認定特定行為業務従事者が喀痰吸引などを実施 | — | 医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を算定しない |
※1:医療的ケアスコア表に該当する利用者
なお、認定特定行為業務従事者とは、喀痰吸引や経管栄養などに関する知識や技術を学ぶ研修を修了し、都道府県から認定証の交付を受けた職員です。交付までには時間や労力がかかりますがケアの質が向上すれば、利用者家族の満足度向上や競合との差別化によって集客力が強化され、結果として収益アップも期待できます。
報酬単価
医療連携体制加算の報酬単価は、次のとおりです。
利用者人数 | |||
1人 | 2人 | 3人以上8人以下 | |
(Ⅰ) | 32単位 | ||
(Ⅱ) | 63単位 | ||
(Ⅲ) | 125単位 | ||
(Ⅳ) | 800単位 | 500単位 | 400単位 |
(Ⅴ) | 1,600単位 | 960単位 | 800単位 |
(Ⅵ) | 500単位 | ||
(Ⅶ) | 100単位 |
※いずれも1日当たり
放課後等デイサービスで医療連携体制加算を算定する際の注意点
医療連携体制加算(Ⅳ)や(Ⅴ)では利用者数に上限がありますが、(Ⅰ)~(Ⅲ)の利用者数と合算する必要はありません。
また、医療的ケア児が3人以上いる場合は、原則として医療連携体制加算ではなく医療的ケア区分の基本報酬を算定します。たとえば、登校日のサービス提供時間が3時間以上の場合、基本報酬は次のとおりです。
医療的ケア児 | 医療的ケア児以外 | |||
32点以上 | 16点以上 | 3点以上 | ||
定員10人以下 | 2,604単位 | 1,604単位 | 1,271単位 | 604単位 |
定員11~20人 | 2,402単位 | 1,402単位 | 1,069単位 | 402単位 |
定員21人以上 | 2,302単位 | 1,302単位 | 969単位 | 302単位 |
つまり、利用者の状態や人数によって算定する加算を見極めることが必要です。医療連携体制加算を算定できるかよく分からない場合は、放デイの請求に精通した専門税理士へ相談するのもひとつの方法です。
まとめ
放デイの医療連携体制加算は要件がやや複雑であり、算定に消極的な事業者も少なくありません。しかし、医療機関や看護職員と連携を取っているなら、積極的に算定したい加算です。
加算の算定や経営でお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献