放課後等デイサービス(放デイ)の中には保護者の送迎負担を軽減する、あるいは集客範囲を広げるために送迎サービスを実施しているところもあります。そのような事業所では、送迎加算の算定が可能です。
今回は放デイの送迎加算について、算定要件や報酬単価のほか、算定時の注意点等を紹介します。
放課後等デイサービスの送迎加算とは
放デイの送迎加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)があります。それぞれの算定要件や報酬単価は、次のとおりです。
算定要件
送迎加算(Ⅰ)の算定要件は、次の2つです。
- 障がい児を送迎している(重症心身障がい児以外)
- 事業所と自宅などの間を送迎している
また、送迎加算(Ⅰ)は以下の一定条件を満たすと、追加加算できます。
- 医療的ケアが必要な児童を送迎している
- 看護職員が同乗している
一方、送迎加算(Ⅱ)の算定要件は、次の3つです。
- 重症心身障がい児を送迎している
- 運転手+直接支援の職員を1名以上配置している
- 医療的ケアに配慮して職員を配置している
報酬単価
送迎加算の報酬単価は、次のとおりです。
通常 | 一定条件を満たした場合 | 同一敷地内 | |
送迎加算(Ⅰ) | 54単位 | 37単位を追加(=91単位) | (Ⅰ)の70% |
送迎加算(Ⅱ) | 37単位 | — | (Ⅱ)の70% |
※いずれも片道あたりの単位数
なお、送迎加算(Ⅰ)で同一敷地内かつ一定条件を満たす場合は、次のような計算になります。
54単位×70%+37単位
=38単位+37単位
=75単位
放課後等デイサービスで送迎加算を算定する際の注意点
放デイで送迎加算を算定する際は、次の5つに注意しましょう。
- 利用者の自立を妨げない範囲で支援することが大前提
- 欠席時対応加算(Ⅱ)との併用算定は不可
- 基本報酬が算定できない場合(サービス提供時間が30分以下)は算定不可
- 徒歩での送迎に関する算定可否は管轄の行政庁に確認
- 自宅や学校以外の送迎は、事前に保護者の同意を得て場所を決めておくことが必要
放課後等デイサービスにおける送迎加算の算定状況
厚生労働省の調査によると、送迎の実施状況や送迎加算の算定状況は次のようになっています。
送迎 | 送迎加算を算定 | 割合 |
〇 | 〇 | 84.5% |
〇 | ✕ | 2.9% |
✕ | ✕ | 11.1% |
※無回答1.4%
なお、送迎を実施していない事業所の運営主体は、自治体がもっとも多く48.0%。次いで、医療法人が29.8%、社会福祉協議会が23.4%となっています。
一方、営利法人や社会福祉法人、NPO法人は送迎加算を算定している事業所の割合が80%以上です。このように運営主体によって送迎の実施に差があるのは、利用者確保のために送迎サービスの導入によって集客範囲を広げている、あるいは送迎に必要な人員を確保できているなどの要因があると推測されます。
まとめ
放デイの送迎加算は、送迎を実施しているほとんどの事業所で算定されています。加算の算定や経営でお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献