放課後等デイサービス(放デイ)の収益を増やす方法のひとつが、加算の算定です。しかし、加算の種類はもちろん、各加算の要件もさまざまであり、「当事業所で算定できる加算はどれか、よくわからない」という事業者もいるでしょう。
そこで今回は、放デイの福祉専門職員配置等加算をピックアップ。算定要件や報酬単価のほか、近年における算定状況を紹介します。
放課後等デイサービスの福祉専門職員配置等加算とは?
まずは、福祉専門職員配置等加算の算定要件や報酬単価を見ていきましょう。
算定要件
福祉専門職員配置等加算は有資格者などの割合によって、算定できる区分が異なります。ここでいう有資格者とは、次のような職種の職員です。
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
- 作業療法士
放デイに勤務する保育士は、現段階では含まれていません。また、それぞれの区分における算定要件は、次のとおりです。
必要な人員 | 必要な割合 | |
(Ⅰ) | 有資格者 | 全常勤の直接支援職員の35%以上 |
(Ⅱ) | 有資格者 | 全常勤の直接支援職員の25%以上 |
(Ⅲ) | ①常勤職員 | 全職員(非常勤含む)の75%以上 |
②勤続3年以上の常勤職員 | 全常勤職員の30%以上 |
つまり、児童指導員や保育士を算定要件に含めたい場合は、(Ⅲ)を選ぶ必要があります。なお、(Ⅰ)~(Ⅲ)は同時に算定することはできません。
また、令和3年度の報酬改定により、算定に必要な人員が産前産後休業や育児・介護休業などを取得した場合、同等の資格がある複数の非常勤職員で埋め合わせできるようになっています。
報酬単価
福祉専門職員配置等加算の報酬単価は、それぞれ次のとおりです。
- (Ⅰ):15単位/日
- (Ⅱ):10単位/日
- (Ⅲ):6単位/日
たとえば、月の営業日数が20日、定員10名の放デイで(Ⅰ)を取得する場合、報酬は次のように算出されます。
報酬単価×営業日数×利用者数×地域区分(10円)
=15単位×20日×10人×10日
=30,000円/月
放課後等デイサービスにおける福祉専門職員配置等加算の算定状況
厚生労働省によると、令和元年6月の1か月間における福祉専門職員配置等加算の算定状況は、次のようになっています。
- (Ⅰ):15.2%
- (Ⅱ):5.0%
- (Ⅲ):23.6%
放デイの保育士は(Ⅰ)や(Ⅱ)の算定要件である有資格者に含まれていないため、おのずと(Ⅲ)の取得を優先する事業所が多いようです。
まとめ
放デイの福祉専門職員配置等加算のうち、常勤職員を必要とする(Ⅲ)は有資格者を必要とする(Ⅰ)や(Ⅱ)より算定しやすい傾向にあります。加算の算定や経営でお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献