就労継続支援B型は、A型よりも参入障壁が低い障がい福祉サービスだといわれています。しかし、開業を検討している方の中には「どれくらいの収益が見込めるのだろうか」という疑問があるのではないでしょうか。
そこで今回は就労継続支援B型の収支や売上について、実際のシミュレーション例をまじえながら紹介します。
就労継続支援B型における収支の詳細
就労継続支援B型の事業における収入(売上)や支出は、それぞれ次のとおりです。
収入(売上)
就労継続支援B型の収入は、基本的に国からの報酬がメインです。収入額は、次のような式で算出できます。
収入=利用者数×稼働日数×基本報酬×地域単価+作業収益
基本報酬は令和4年度時点で、平均工賃月額をもとに計算する報酬体系と、令和3年度に新設された報酬体系の2つがあります。各年度の4月に片方の報酬体系を選択できますが、年度の途中で切り替えることはできません。
どちらの報酬体系を適用した方がより収益を得られるかを知る上でも、収支シミュレーションは大切になってきます。
支出
就労継続支援B型の支出は、人件費や建物の賃料、水道光熱費などが挙げられます。特に人件費はかさみやすいため、後述の例を参考にしっかりシミュレーションしていきましょう。
就労継続支援B型の収支シミュレーション例
次のような事業所の設定で収支シミュレーションをしていきます。
定員 | 15名 |
平均工賃月額 | 1万円以上1.5万円未満 |
稼働日数 | 20日 |
人員配置 | 7.5:1 |
地域単価 | 10円 |
作業収益 | 20万円 |
収入額の計算
従来の報酬体系で計算したときの収入額は、次のとおりです。
15人×20日×590単位×10円+200,000円=1,970,000円
一方、新設された報酬体系で計算したときの収入額は、次のように算出されます。
15人×20日×556単位×10円+200,000円=1,868,000円
支出額の計算
この事業所では利用者が15人、人員配置が「7.5:1」のため、職業指導員と生活支援員は最低「2.0人」必要になります。管理者とサビ管を兼務した場合の人件費例は、次のとおりです。
管理者(&サビ管) | 1名 | 350,000円 |
職業指導員 | 常勤1名 | 200,000円 |
職業指導員 | 非常勤0.5名 | 120,000円 |
生活支援員 | 非常勤0.5名 | 140,000円 |
合計 | 810,000円 |
また、利用者の工賃を13,000円とすると15名×13,000円で、195,000円となります。つまり、人件費の合計は「1,050,000円」です。
さらに、その他の経費を次のように仮定します。
建物賃料 | 150,000円 |
水道光熱費 | 35,000円 |
通信費 | 27,000円 |
その他 | 100,000円 |
合計 | 320,000円 |
人件費とその他の経費を合算した最終的な支出額は、「1,370,000円」となります。つまり、この事業所の収益は従来の報酬体系で「600,000円」、新設の報酬体系で「498,000円」になるということです。
まとめ
就労継続支援B型では、ある程度の収益が見込めることがわかりました。しかし、必ずしも収支シミュレーションのように上手くいくとは限りません。確実に黒字経営を目指したい方は就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献