障がい者が暮らしやすくするためには、時に住居の「バリアフリー」が必要な場合も少なくありません。特に、利用対象者が身体障がい者の場合は、開業前のバリアフリー化が必須。また、高齢化により身体機能が低下した知的・精神障がい者がいる場合も、バリアフリー化の検討が必要です。
そこで今回は障がい者グループホームのバリアフリーについて、主な施行例はもちろん、開業前のバリアフリー化が不要なケースを紹介します。
障がい者グループホームのバリアフリー例
車いすを利用する障がい者がいる場合、最低限のレベル(義務基準)として「車いす使用者と人がすれ違える廊下幅」や「車いす用トイレ」などを1つ以上配置する必要があります。ただし、障がい者グループホームでは複数人の
望ましいレベル(誘導基準)としては、「車いす使用者同士がすれ違える廊下幅」や「車いす用トイレが必要な階にある」などが挙げられるでしょう。
以上を踏まえた具体的なバリアフリー例は、次のとおりです。
義務基準 | 誘導基準 | |
出入り口 | 幅80cm以上 | 幅90cm以上 |
廊下など | 幅120cm以上 | 幅180cm以上 |
傾斜路(スロープ) | 手すり片側設置
幅120cm以上 |
手すり両側設置
幅150cm以上 |
トイレ | 車いす用・オストメイト対応
ともに建物に1以上 |
車いす用は各階に原則2%以上
オストメイト対応は各階1以上 |
※各所の状況によっては、追加条件や緩和・適用除外あり
障がい者グループホームでバリアフリーが不要なケース
実は、障がい者グループホームだからといって、必ずしも「バリアフリー化しなければならない」というわけではありません。例えば、東京都では、「主たる利用者が知的・精神障がい者に限定している」「身体障がい者など上下階の移動が困難な者が使用しない」という条件に当てはまる場合、以下の基準は適用されません。
- 移動時に使用する経路に関する基準
- 階段の幅やけあげ、踏面の寸法に関する基準
- 車いす用・オストメイト対応のトイレなどに関する基準
- 出入口の幅や、車いす使用者がスムーズに利用できる空間の確保に関する基準
ただし、対象者が知的・精神障がい者に限定されていたとしても、高齢化による身体機能の低下でバリアフリー化が必要なケースが出てくる可能性はあります。利用者の高齢化は今後ますます増えていくと予想されているため、事業者はあらかじめバリアフリーについて学ぶ・検討しておくことが必要でしょう。
まとめ
障がい者グループホームの対象者のうち、特に身体障がい者を対象とする場合は、住居のバリアフリー化が必須です。開業物件についてお悩みの方は、障がい者グループホームに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献
福祉施設等におけるバリアフリーに関する基準の考え方について|東京都福祉保健局