就労継続支援B型の主な収益は、国から支給される「訓練等給付費」です。経営に直結する費用であるため、就労継続支援B型の開業者や運営者は、訓練等給付費について理解しておく必要があります。
そこで今回は就労継続支援B型の訓練等給付費について、その概要や支給決定までの流れなどを紹介します。
就労継続支援B型の訓練等給付費とは
訓練等給付費とは、自立生活を目指した訓練などの支援を行うサービスに対して支給される給付金です。就労継続支援B型のほか、共同生活援助(障がい者グループホーム)や自立訓練、就労移行支援などにも給付されます。
支給決定までの流れ
就労継続支援B型の訓練等給付費は、次のような流れで支給が決定されます。
- 障がい者本人または代理人による利用申請
- サービス等利用計画案の提出依頼
- 調査員による各種調査
・障がい支援区分認定調査
・勘案事項調査
・サービス利用意向の聴取
- 暫定支給決定(おおむね2か月以内)
- サービス等利用計画案の提出
- 支給決定
なお、就労継続支援B型の対象者に、年齢や障がい支援区分の制限はありません。また、障がい者手帳を保有しない方でも利用できます。
総費用額の推移
国保連データによると、就労継続支援B型の訓練等給付費は平成28年度時点で、障がい福祉サービス全体の約16.3%を占めています。一方、事業所数や利用者数は年々増加していますが、伸びが鈍化しているとも。
それぞれのデータは、次のとおりです。
費用額 | 利用者数 | 事業所数 | |
平成26年度 | 266,362円 | 190,548人 | 8,954か所 |
平成27年度 | 288,501円 | 204,223人 | 9,698か所 |
平成28年度 | 309,005円 | 216,887人 | 10,364か所 |
就労継続支援B型の訓練等給付費は工賃に充てられるのか
結論から言うと、就労継続支援B型の訓練等給付費は、原則工賃に充てることはできません。ただし、昨今の新型コロナウイルスの対応に伴って、一定の条件を満たせば給付費を工賃に充てられるとされています。
その条件は、次の3つをすべて満たす場合です。
- 激甚災害の指定を受けた地域や、災害救助法適用地域に事業所や取引先がある場合(あるいは激甚災害などによる間接的な影響により、生産活動収入が得られなかったと指定権者が認めた場合)
- 生産活動収入の大幅な減少が見込まれたり、数か月にわたり十分な生産活動収入が得られなかった場合
- 工賃変動積立金や工賃変動積立資産がなく、これらを活用できない場合
ただし、生産活動収入が少ないながらも災害前の水準に戻った後は、訓練等給付費を工賃に充てることはできないため注意が必要です。
まとめ
就労継続支援B型の訓練等給付費は、経営に直結する主要な収益です。支給の手続きや売上についてお悩みの方は、就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献
就労継続支援A型、B型に係る報酬について ≪論点等≫|厚生労働省