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居宅介護の同一建物減算は、平成30年度の報酬改定で設けられたものです。小規模事業所はあまり馴染みがないとはいえ、将来的に事業を拡大する予定の場合は押さえておきたい減算の1つといえます。

そこで今回は居宅介護の同一建物減算について、適用条件や減算率のほか、創設された背景を紹介します。

居宅介護の同一建物減算とは?

まずは同一建物減算の基礎知識として、以下の2つを見ていきましょう。

適用条件

同減算は、事業所と同一建物の利用者に居宅介護を提供した場合に適用されます。なお、「事業所と同一建物」とは、同一敷地内や隣接敷地にある建物を指します。ただし、以下のような場合は減算の対象外です。

  • 複数の建物が点在するなどの大規模団地
  • 複数のバス停留所があるような広大な敷地
  • 河川や幹線道路などによって、訪問する際に迂回が必要な敷地 など

また、対象の利用者には障がい福祉サービスの居宅介護を利用する方以外は含まれません。たとえば、介護保険サービスである訪問介護の利用者が対象外です。

減算率

居宅介護における同一建物減算の減算率は、下表のとおりです。

対象の利用者数 減算率
20人以上の場合 10%(基本報酬×90%)
50人以上の場合 15%(基本報酬×85%)

たとえば、同一建物の20人に対して、それぞれ30分未満の身体介護をした場合の減算額は以下のように算出できます。

【基本報酬】

報酬単価×人数×地域区分(10円)

=256単位×20人×10円

=51,200円

【減算後の基本報酬】

基本報酬×減算率

=51,200円×0.9

=46,080円

居宅介護に同一建物減算が設けられた背景

居宅介護に同一建物減算が設けられたのは、利用者支援の状況を適正に評価するためです。従来、居宅介護は地域に点在する利用者へ訪問したうえで支援します。しかし、同一建物であれば移動にかかる時間や労力が減るため、従来と同等の基本報酬では不公平が生じます。

同一建物減算はもともと、介護保険サービスである訪問介護等で設けられていました。しかし、近年では重度障がい者の利用が増え続ける共同生活援助(グループホーム)などで居宅介護のニーズが高まっています。

今後も同一建物での支援提供が増える可能性を見込み、減算の適用が設けられたと推測されます。

まとめ

居宅介護の同一建物減算は、複数の障がい福祉サービスを展開する事業所ほど注意したい減算です。開業準備や経営でお悩みの方は、居宅介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。

参考文献

厚生労働省|居宅介護に係る報酬·基準について≪論点等≫

厚生労働省|障がい福祉サービスについて

厚生労働省|令和6年度障がい福祉サービス等報酬改定について

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