居宅介護と生活介護は名前が似ていることから、混同してしまう方も少なくありません。しかし、2つはさまざまな点で大きく異なります。
そこで今回は居宅介護と生活介護の違いについて、対象者やサービス内容をはじめとした5つの観点から紹介します。
居宅介護と生活介護の違い
居宅介護と生活介護の違いについて、以下に挙げる5つの観点で見ていきましょう。
対象者の違い
対象者の違いは、下表のとおりです。
居宅介護 | 生活介護 | |
障がい支援区分 | 区分1以上 | 区分2以上 |
その他要件 | 【身体介護を伴う通院等介助を利用する場合】
・区分2以上 ・認定調査項目で所定項目のいずれか1つ以上該当 |
— |
生活介護は下表のように、年齢や施設入所支援の併用有無によって異なります。
障がい支援区分 | ||
通常 | 施設入所支援を併用する場合 | |
50歳未満 | 区分3以上 | 区分4以上 |
50歳以上 | 区分2以上 | 区分3以上 |
居宅介護のほうが、対象者の幅がより広いといえるでしょう。
サービス内容の違い
サービス内容の違いは、下表のとおりです。
居宅介護 | 生活介護 |
・身体介護
・家事援助 ・通院等介助 ・通院等乗降介助 ・生活に関する相談援助 など |
・日常生活動作の介助
・創作活動やレクリエーションの実施 ・生産活動機会の提供 ・機能訓練 ・生活に関する相談援助 など |
どちらかというと居宅介護は介助、生活介護は日中活動支援がメインとなっています。
人員配置基準の違い
それぞれの人員配置基準は、下表のとおりです。
居宅介護 | 生活介護 | |
管理者 | 常勤1人以上(※) | 1人以上 |
サービス提供責任者(サ責) | 常勤1人以上 | — |
サービス管理責任者(サビ管) | — | 常勤1人以上 |
従業者(ホームヘルパー) | 常勤換算で2.5人以上 | |
生活支援員 | — | 常勤1人以上 |
看護職員 | — | 1人以上 |
理学療法士(PT)または作業療法士(OT) | — | 必要な場合に配置 |
医師 | — | 嘱託可 |
※業務に支障がなければ兼務可能
必要な職種の種類や人数は、生活介護のほうが多くなっています。
事業所数・利用者数の違い
ひと月平均の事業所数・利用者数の違いは、下表のとおりです。
【事業所数】
令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
居宅介護 | 20,591か所 | 21,064か所 | 21,580か所 |
生活介護 | 11,311か所 | 11,851か所 | 12,279か所 |
【利用者数】
令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
居宅介護 | 185,183人 | 192,419人 | 197,344人 |
生活介護 | 290,450人 | 295,253人 | 298,891人 |
居宅介護は事業所が小規模な傾向にあるため、事業所の全体数も生活介護より多くなっています。いずれも利用者数は増加傾向にあり、とくに中等度・重度障がい者からのニーズは、今後ますます大きくなっていくでしょう。
収支差率(利益率)の違い
収支差率の推移は、下表のとおりです。
令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | |
居宅介護 | 8.4% | 8.3% | 6.9% |
生活介護 | 8.2% | 8.3% | 8.3% |
増減はあるものの、いずれも全体平均の5%を上回っている状況です。
まとめ
居宅介護と生活介護は異なるサービスですが、利用者によっては併用するケースも少なくありません。開業準備や運営でお悩みの方は、居宅介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献