生活介護の利用者は多様な障がい特性を持っているため、質の高い支援を提供するうえでは専門的な知識やスキルの習得が必須です。その目安となるのが資格の保有であり、有資格者などを確保した事業所は福祉専門職員配置等加算を算定できます。
そこで今回は同加算の算定要件や報酬単価のほか、令和6年度の報酬改定で見直された内容について紹介します。
生活介護の福祉専門職員配置等加算とは?
同加算の算定要件や報酬単価は、それぞれ以下のとおりです。
算定要件
同加算は3種類あり、それぞれの要件は下表のようになっています。
必要な人員 | 必要な割合 | |
(Ⅰ) | 有資格者 | 全常勤の直接支援職員の35%以上 |
(Ⅱ) | 有資格者 | 全常勤の直接支援職員の25%以上 |
(Ⅲ) | ①常勤職員※ | 全職員(非常勤含む)の75%以上 |
②勤続3年以上の常勤職員 | 全常勤職員の30%以上 |
※常勤換算で計算
なお、生活介護の同加算で対象となる職種は、いずれも生活支援員です。また、対象となる資格は以下の4つが挙げられます。
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
報酬単価
同加算の報酬単価は、下表のとおりです。
報酬単価(1日につき) | |
(Ⅰ) | 15単位 |
(Ⅱ) | 10単位 |
(Ⅲ) | 6単位 |
たとえば、(Ⅰ)を算定できる事業所が月22日営業した場合、ひと月あたりの報酬額は以下のように算出できます。
報酬単価×日数×地域区分(10円)
=15単位×22日×10円
=3,300円
【令和6年度】生活介護の福祉専門職員配置等加算における変更点
従来、同加算の(Ⅰ)または(Ⅱ)と(Ⅲ)は、併給できないことになっていました。しかし、令和6年度の報酬改定により、併給が可能となっています。
見直しに至った背景には、生活支援員の勤務実態があります。生活介護では常勤職員が多く配置され、かつ勤続年数が長い傾向があり、その状態を適切に評価しようとする動きが強まったのです。
また、財政制度等審議会財政制度分科会から、以下のような指摘があったことも影響しています。
非常勤職員や、勤続年数が低い職員を雇うことで給与費を低く抑えられている事業所がある |
引用:厚生労働省|生活介護に係る報酬·基準について②≪論点等≫
実際、令和5年の経営実態調査では、下表のように営利法人と社会福祉法人とで大きな差が生じていました。
収支差率 | 給与費※ | |
営利法人 | 14.1% | 3,914千円 |
社会福祉法人 | 7.8% | 5,109千円 |
※サービス換算職員数あたり
今回の変更は、「サービスの質を適正に評価する報酬体系へ見直す」という意味も込められているのです。
まとめ
生活介護の福祉職員配置等加算は報酬単価自体に変化はなかったものの、(Ⅰ)または(Ⅱ)と(Ⅲ)の併給が可能となりました。加算の算定や経営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献