生活介護の収入源は基本報酬のほか、さまざまな加算を算定することで確保できます。就労移行支援体制加算も、そのうちの1つです。
そこで今回は同加算の算定要件や報酬単価について、令和6年度の報酬改定を踏まえながら紹介します。
生活介護の就労移行支援体制加算とは?
同加算の算定要件や報酬単価は、それぞれ以下のとおりです。
算定要件
同加算は、以下の要件を満たすと算定できます。
- 同事業所(※)の支援を受けていた
- 同事業所から一般就労した
- 就労が6か月以上継続している
- 上記すべてを満たす方が前年度に1人以上いる
なお、一般就労への移行を評価する加算のため、就労継続支援A型への移行は対象外となります。
報酬単価
生活介護における同加算の報酬単価は、下表のとおりです。
利用定員 | 報酬単価(1日につき) |
20人以下 | 42単位 |
21人以上30人以下 | 20単位 |
31人以上40人以下 | 18単位 |
41人以上50人以下 | 14単位 |
51人以上60人以下 | 10単位 |
61人以上70人以下 | 8単位 |
71人以上80人以下 | 7単位 |
81人以上 | 6単位 |
令和6年度の改定前は報酬区分が5段階でしたが、基本報酬の定員規模別区分が細分化されたことにともない、同加算も8段階に変更されています。
なお、同加算は前年度実績に応じて1年間の算定が可能です。たとえば、以下の条件で1年間の報酬額を計算してみましょう。
- 前年度の対象者:3人
- 利用定員:20人以下
- 1年間の営業日数:240日(20日×12か月)
報酬単価×人数×日数×地域区分(10円)
=42単位×3人×240日×10円
=302,400円
つまり、約30万円/年が基本報酬に上乗せされることになります。
生活介護から一般就労する方は多い?
結論から言うと、生活介護は区分4〜6といった重度障がい者の割合が多く、一般就労につながるケースは少ないのが現状です。実際、東京都のデータによると、生活介護から一般企業への就職率はほぼ0%となっています。
利用者数 | 就職者数 | 就職率 | |
令和元年度 | 11,817人 | 0人 | 0.0% |
令和2年度 | 11,125人 | 2人 | 0.0% |
令和3年度 | 13,572人 | 3人 | 0.0% |
就労意欲がある利用者は、就労継続支援A型などの就労系サービスへ移行してから一般企業に就職するケースが多いようです。生活介護と就労系サービスを併用している利用者がいない限りは、同加算の算定機会は極めて少ないといえるでしょう。
まとめ
生活介護の就労移行支援体制加算は、令和6年度の報酬改定により報酬区分が細分化されました。加算の算定や経営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献