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生活介護の継続的な運営には、安定した収益の確保が不可欠です。経営の見通しが甘いと開業直後の赤字経営からなかなか抜け出せず、最悪の場合、廃業に追い込まれるケースも少なくありません。

そこで今回は生活介護の収入事情として、収入源や収支差率のほか、収益シミュレーションを紹介します。

生活介護の収入源とは?

生活介護の収入源は、主に以下の5つです。

 

  • 基本報酬
  • 加算
  • 利用者の実費負担
  • 補助金/助成金
  • 寄付金 など

 

国から支払われる基本報酬や、加算の報酬が収入の大部分を占めます。そのため、いかに利用者を増やすか、また加算を算定できるかが黒字経営の鍵となってきます。

生活介護の収入事情

ここでは生活介護の収入事情として、黒字事業所と赤字事業所の収益比較やサービスごとの収支差率を見ていきましょう。

黒字事業所と赤字事業所の収益比較

福祉医療機構(WAM)の調査によると、生活介護事業所のサービス活動収益は下表のようになっています。

 

全体 黒字事業所 赤字事業所
サービス活動収益 105,614 111,241 88,103
利用者1人1日あたりのサービス活動収益 13,084 13,204 12,630
従業者1人あたりのサービス活動収益 5,568 5,722 5,036

単位:千円

 

黒字事業所と赤字事業所の差は、とくに「従業者1人あたりのサービス活動収益」で大きくなっています。赤字事業所における従業者1人あたりの人件費が、黒字事業所よりも600円近く高いことが影響していると推測されます。

黒字経営のためには利用率の向上と同時に、適切な人員配置によって支援の質を維持しつつも人件費率を抑えることが大切といえるでしょう。

収支差率(利益率)

厚生労働省の実態調査によると、生活介護などの日中活動系サービスにおける収支差率は、下表のようになっています。

 

平成29年実態調査 令和2年実態調査
生活介護 5.3% 8.9%
療養介護 3.3% 1.6%
短期入所 3.8% 4.0%

 

平成29年・令和2年ともに生活介護の収支差率は、ほかのサービスを大きく上回っている状況です。感染症の流行があったにもかかわらず大きな減少を見せないことから、生活介護に対する需要の高さや安定性は今後も続くといえるでしょう。

生活介護の収入シミュレーション

定員20名以下の生活介護事業所を想定し、基本報酬からの収入を計算してみましょう。ここでは金額を算出しやすいように、利用者全員が区分4とします。ほかの条件は、以下のとおりです。

 

  • 利用者:区分4(669単位)が20名
  • 営業日数:26日(月曜日~土曜日稼働)
  • 稼働率:8割

 

実際に基本報酬を計算すると、下記のようになります。

 

基本報酬×人数×営業日数×稼働率×地域区分(10円)

=669円×20名×26日×0.8×10円

=2,783,040円

 

つまり、上記の条件であれば、月に約280万円の収入が入るということです。ここから支出分が差し引かれるため、実利益は額面通りとはいきません。しかし、固定費や人件費などをなるべく削減することで、手元に残る事業収益は大きく増やせるでしょう。

まとめ

生活介護の収入はほかのサービスよりも確保しやすいものの、継続的な集客や支出の削減などの工夫が不可欠です。開業や経営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。

 

参考文献

厚生労働省|生活介護に係る報酬・基準について≪論点等≫

厚生労働省|令和2年障害福祉サービス等経営実態調査結果の概要

福祉医療機構(WAM)|2020年度(令和2年度)日中活動系障害福祉サービスの経営状況

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