就労移行支援では、少年院や刑務所を退所した方や医療観察法の対象となる方が事業所を利用した場合、社会生活支援特別加算の算定が可能です。
しかし、あまり馴染みがない加算のため、「社会生活支援特別加算とはどのようなものなのか」と疑問に思う方もいるでしょう。そこで今回は社会生活支援特別加算の算定要件や、注意点について紹介します。
就労移行支援の社会生活支援特別加算とは?
当加算の算定要件・報酬単価は、以下のとおりです。
算定要件
当加算の対象者は、以下のいずれかを満たしている方です。
- 通院や退院許可の決定を受けてから3年未満(医療観察法に基づく)
- 矯正施設・更生保護施設の退所後3年未満、かつ関係機関(※1)との調整で事業所利用が決定
※1保護観察所または地域生活定着センター
また、事業者は以下に挙げる4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 人員配置が指定基準を満たしている
- 以下のaまたはbを満たし、利用者への適切な支援に関する指導体制が整っている
- a:社会福祉士や精神保健福祉士、公認心理師を配置する
- b:指定医療機関と連携し、上記資格保有者が事業所へ訪問する
- 所定の研修(※2)を年1回以上実施する
- 関係機関(※3)と協力体制が整えられている
※2「医療観察法での入院によらない医療を受ける者」または「刑事施設もしくは少年院を釈放された障がい者の支援」に関する研修
※3保護観察所や更生保護施設、指定医療機関、精神保健福祉センターなど
なお、算定するためには事前の届け出が必要です。自治体によっては、当加算の対象である旨を個別支援計画に記載する必要があるため留意しましょう。
報酬単価
当加算の報酬単価は、480単位/日です。たとえば1月に8回支援した場合、報酬額は以下のように算出されます。
報酬単価×対象人数×支援回数×地域単価(10円)
=480単位×1人×8回×10円
=38,400円/月
就労移行支援で社会生活支援特別加算を算定する際の注意点
就労移行支援で当加算を算定する際には、通常とは異なる支援計画を作成する必要があります。記載する基本的な項目は以下の6つです。
- 本人・関係者の聞き取り結果を踏まえ、再犯防止のための専門的な支援内容
- 指定医療機関・保護観察所の関係者との調整会議の開催
- 日常生活や対人関係に関する助言
- 医療観察法に基づく通院決定を受けた者への通院支援
- 日中活動における緊急時の対応
- その他必要な支援
上記の項目を支援計画に記載し、対象者が持っている課題とそれを踏まえたサポート内容を事業所内で共有しましょう。
まとめ
社会生活支援特別加算は、適切な支援のために必要な職員や研修環境が整っている場合に算定できます。他の加算よりも要件が複雑であるため、各機関と連携を取りながら進めていきましょう。
加算の算定や経営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献