就労移行支援では、定められた利用期間を超えてしまうと減算対象になります。しかし、「標準利用期間とは何年何か月なのか?」「どれくらい減算されるのか?」といった具体的な数値をわからないと悩んでいる開業者も多いでしょう。
そこで今回は就労移行支援における標準利用期間超過減算の概要と、ベースとなる平均利用期間の計算方法を紹介します。
就労移行支援の標準利用期間超過減算とは?
就労移行支援の標準利用期間超過減算とは、対象者の平均利用期間が「標準利用期間+6か月」を超えた場合に減算されるものです。対象者は、事業所を利用し始めて1年以上経過している利用者になります。
標準利用期間超過減算には、「支援サービスを提供するために効果的である」と設定された期間を、事業者に意識してもらう意味合いがあります。
そのため、「減算されないように努める」のではなく「利用者にとって効果的で適切な支援サービスの提供に努める」ことが大切です。次項から、就労移行支援における具体的な平均利用期間や適用条件、減算率を見ていきましょう。
そもそも就労移行支援の標準利用期間とは?
就労移行支援における利用者の標準利用期間は、24か月です。やむを得ない事情があるときは市区町村へ申請して認められると最大12か月、利用期間を延長できます。
しかし、延長した場合であっても、利用者の標準利用期間超過減算の対象期間はあくまで24か月です。そのため、標準利用期間を延長している利用者が多くなると、事業者側が気付かないうちに減算の対象になってしまう可能性があるため、注意が必要です。
適用条件と減算率
事業所を利用し始めて1年以上、かつ平均利用期間が30か月(標準24か月+6か月)を超えた場合に減算対象となります。減算対象に認定されてしまうと、利用者全員の基本報酬が1か月5%減の95%で算定されます。
標準利用期間超過減算における平均利用期間の計算方法
標準利用期間超過減算における平均利用期間とは、利用者全員の利用期間の合計値を対象人数で割って算出した期間です。平均利用期間の計算方法の例は、下表のようになります。
例:事業所を1年以上利用している対象者が7名いる場合
利用者A | 利用者B | 利用者C | 利用者D | 利用者E | 利用者F | 利用者G | |
利用期間 | 22 | 18 | 34 | 15 | 38 | 26 | 28 |
※単位表記(~か月)を省く
平均利用期間
=利用者全員の利用期間の合計値÷対象人数
=(22+18+34+15+38+26+28)か月÷7人
=181÷7
=25.9
つまり、上記の例であれば、平均利用期間は25.9か月となります。算出した期間が減算対象になる30か月を下回っているため、減算されません。
しかし、標準利用期間24か月は超えているため、就労支援の改善をおこなっていくことが急務となります。適切な支援を提供するためにも、そして減算対象にならないためにも、個別支援計画を活用して計画的に支援を提供していきましょう。
まとめ
就労移行支援では、定められた利用期間を超えてしまうと減算対象になってしまいます。運営や経営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献