放課後等デイサービス(放デイ)をはじめとした福祉業界は、離職率が高いとよくいわれます。離職が多いと困るのは、単に人員が足りなくなる点だけではありません。人員に余裕がないことで新しい職員を採用しても十分な教育ができず、すぐに退職してしまう、採用コストがかさむなどのデメリットが大きくなります。
そこで今回は放デイの離職に関する現状を踏まえ、事業者が講じるべき解決策を紹介します。
放課後等デイサービスの離職に関する現状
放デイの離職率やおもな離職理由は、それぞれ次のとおりです。
離職率
厚生労働省によると、令和3年度における産業別の離職率は次のようになっています(一部抜粋)。
産業 | 離職率 |
医療・福祉 | 13.5% |
教育・学習支援 | 15.4% |
宿泊・飲食サービス | 25.6% |
電気・ガス・熱供給・水道 | 8.7% |
製造 | 9.7% |
残念ながら、放デイ単体の離職率は公開されていません。しかし、医療・福祉の離職率は高めではあるものの、飛び抜けて悪いわけではないことがわかります。
実際には、福祉経験のない方が採用された後、「自分には合わなかった」と試用期間中に退職するケースが少なくありません。そのため、「採用しても職員がすぐ辞める=離職率が高い」というイメージが強くなったと推測されます。
離職する理由
放デイを離職する理由として挙げられるのは、おもに次のようなものです。
- 人間関係の悩みやトラブル
- 過大な業務負担による体力・精神面での消耗
- 結婚や出産などライフステージの変化
- 給与の少なさ など
とくに、放デイは障がい児を対象とする障がい福祉サービスのため、職員は子どものあり余るパワーや予期せぬ動きに圧倒されがち。日常的に体力面・精神面での消耗が激しく、「きつい」という理由から離職する方も多々います。
放課後等デイサービスの離職率を改善する方法
放デイの離職率を改善する方法としては、次のようなものが挙げられるでしょう。
- 新人の教育体制や教育プランを整える
- 加算を積極的に算定し、収益を増やす
- 人員に余裕があるときこそ、定期的に新人を採用する
- 福利厚生を充実させる など
また、放デイのサービス提供時間は放課後や休日の日中など、主婦が働きにくい時間帯です。ライフステージが変わっても働き続けられるようにするためには、児童発達支援など他の障がい福祉サービスを併設し部署間異動を可能にすることもひとつの方法です。
まとめ
放デイの離職率は、医療・福祉分野に準ずると10%以上はあると推測されます。離職率を改善するためには、日々の体制作りや定期的な採用活動が大切です。開業や運営でお悩みの方は、放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献