放課後等デイサービス(放デイ)を開業するときには、指定基準や各種法令の遵守のほか、さまざまな書類作成や人員確保など事業者がやるべきことは山ほどあります。非常に多くの労力が必要な分、「指定取り消しには絶対なりたくない」と強く思う事業者が多いでしょう。
そこで今回は反面教師として利用できるよう、放デイの指定取り消し例を紹介します。
放課後等デイサービスの指定取り消し例
大阪府によると平成26年度から令和2年度に指定取り消し、あるいは指定の一部・全部効力停止になった例はおもに次の5つです。
- 指定基準の違反
- 虚偽の書類作成や記録の偽造・改ざん
- 各種マニュアルの未整備
- 不正請求
- 虐待
それぞれ詳しく見ていきましょう。
指定基準の違反
常勤が原則である管理者や児童発達支援管理責任者(自発管)を配置していなかったり、架空の人物の名義を使って不在期間がないように虚偽の変更届を提出したりした例です。同法人の別事業所に勤務するスタッフや、実務経験などの要件を満たさないスタッフを配置して不正に指定を受けた例もあります。
また、設備基準においても虚偽の物件を提出したり、書類の内容と実際の物件との間に大きな差異が生じたりした例もありました。
虚偽の書類作成や記録の偽造・改ざん
放デイのサービスを提供していないにもかかわらず、提供したとという虚偽の実績記録票を作成した例です。また、虚偽を正当化するために記録の偽造や改ざんを行った例もあります。
各種マニュアルの未整備
放デイで整備すべきマニュアルが準備されておらず、必要な措置が取れない状況にあった例です。具体的には、次のようなマニュアルの未整備が指摘されています。
- 事故対応マニュアル
- 緊急時対応マニュアル
- 感染マニュアル など
不正請求
虚偽のサービス提供にともない、障がい児通所給付費を不正に請求・受領した例です。また、人員配置基準を満たしていない・各種加算について必要な記録がないにもかかわらず、満額の報酬を不正に請求・受領した例もあります。
さらに、各種減算について適用される状態にあるにもかかわらず、減算せずにいた例もありました。
虐待
身体的・心理的虐待を繰り返した例です。虐待の例としては、次のようなものが挙げられます。
- サービス時間内に自宅の犬小屋や風呂場などの掃除をさせた
- 利用者を平手で叩いたり、閉じ込めたりした
- 利用者に対し懲罰的な言動を繰り返した など
放課後等デイサービスの指定取り消しにならないためには
放デイの指定取り消しにならないためには、当然のことながら指定基準を守り、適切な運営を続けることが大切です。実地指導で指摘されないよう、日頃から運営体制や書類の整備を心がけましょう。
とはいえ、事業者だけでは対応しきれない、不安が残る部分も少なくありません。そのような場合は、専門家に頼るのもひとつの方法です。依頼費用はかかりますが、事業の停止や廃止で負債を抱えることを考えると、資金を活用して事業を守るのも経営者の大切な役割といえます。
まとめ
放デイは各種指定基準の違反や虚偽の書類提出、虐待などで指定取り消しにあっている事業所もあります。指定取り消しにならないためにも、開業や運営でお悩みの方は放課後等デイサービスに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献