就労継続支援B型で避けて通れないのが、運営状況を確認する「実地指導」です。実地指導は定期的に行われるものから、苦情が多いなどの理由から緊急で行われるものもあります。指導内容によっては、減算や報酬の返還が生じるケースも少なくありません。
そこで今回は就労継続支援B型の実地指導について、そろえておきたい必要書類やチェックポイントを紹介します。
就労継続支援B型の実地指導①必要書類
就労継続支援B型の実地指導では、おもに次のような書類が確認されます。
運営関連
運営関連で確認される書類は、次のとおりです。
- 運営規程
- 事故やヒヤリハットの報告書
- 研修の計画と記録
- 苦情相談の書類
- 自己評価の書類
- 賠償責任保険の証書
- 虐待防止、身体拘束適正化に関する書類
- 各種マニュアル(緊急時対応など)
- 非常災害訓練の記録
- BCP(事業継続計画)
なお、令和5年4月からは身体拘束適正化に向けた委員会の設置や研修の実施が義務化となります。また、昨今のコロナ禍を受けて、災害や感染症が発生した際のBCP策定や感染対策委員会の設置も令和6年4月から義務化。それぞれ、取りこぼしのないように注意しましょう。
サービス関連
サービス関連で確認される書類は、次のとおりです。
- 重要事項説明書や利用契約書
- 個人情報の扱いに関する同意書
- 個別支援計画関連(アセスメントやモニタリング、会議録などを含む)
- 契約内容の報告書
- 送迎記録(送迎加算を算定している場合)
- 前年度平均利用者数を記載した書類
いずれも、実態に即した内容であることが大切です。また、個別支援計画には、作成や説明・同意を行った日を確実に記載しましょう。6か月ごとに個別支援計画を作成すべきところを、時期が過ぎていたり日付が記載されていなかったりすると指導対象になります。
人員関連
人員関連で確認される書類は、次のとおりです。
- 雇用や秘密保持に関する契約書
- 勤務表や出勤簿
- 資格証明書や研修の修了証
- 給料明細
- 健康診断の記録
サビ管や生活支援員などが人員配置基準を満たさない場合、減算対象となるため注意しましょう。
請求関連
請求関連で確認される書類は、次のとおりです。
- 実績記録表
- 法定代理受領通知
- 実費分の請求書と領収書
- 会計書類
とくに、会計書類は生産活動の収益と国からの給付費とをわけて計算する必要があります。同一の事業所内で複数のサービスを提供している場合も、サービスごとに会計を分けてください。
就労継続支援B型の実地指導②チェックポイント
就労継続支援B型の実地指導で特有なのが、在宅支援や工賃に関わる部分です。在宅支援を行っている場合は、定期的な連絡や評価の実施・記録についてチェックされます。連絡は1日2回、評価は1週間に1回、忘れずに行いましょう。
工賃は、訓練等給付費から出していないかチェックされます。ただし、これには例外も。災害や感染症などにより十分な収益が得られないなど、一定の条件を満たせば訓練等給付費から工賃を出すことも可能です。
まとめ
就労継続支援B型の実地指導では、さまざまな書類がチェックされます。実地指導で減算や報酬の返還が生じないよう、日頃から書類を整えておくことが大切です。
運営や経営でお悩みの方は、就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献