障がい者グループホームの開業・運営時には、消防法や労働基準法など、さまざまな法令の遵守が求められます。建築基準法も、そのうちの1つです。
今回は建築基準法について、障がい者グループホームの開業時に押さえておきたいことを2つ紹介します。
障がい者グループホームと建築基準法①建築物の用途
建築基準法では、建築物ごとに「どのような目的で使用するのか」を示す「用途」を定める必要があります。障がい者グループホームの場合、新築であれば建築確認を申請し、用途を確認してもらうことに。
一方、既存の建築物を障がい者グループホームとして利用する際は、変更部分の床面積合計が200㎡超の場合に用途変更の手続きが必要です。200㎡を超えない場合は申請不要ですが、建築基準法の各種条項は確認する必要があります。
具体的な用途変更例は、次の表を参考にしてみてください。用途変更後の「寄宿舎」とは、玄関や台所、便所、浴室などが原則として共用で、寝室だけが各入居者用に用意されている使用形態の建築物。また、「共同住宅」とは、各住戸が独立して生活できる形態となっていて、廊下、階段等の共用部分を有している建築物を指します。
建築物の形態
(用途変更前) |
建築物の用途
(用途変更後) |
・一戸建ての住宅
・ワンルーム等の単身の共同住宅を除く ファミリータイプ共同住宅(3LDK等) |
寄宿舎 |
・ワンルームタイプ共同住宅※
・サテライト型住居 |
共同住宅 |
※ワンルームタイプ共同住宅として建築確認を受けている建築物を障害者グループホームとして複数使用する場合には、既存設備の変更がないことを条件に共同住宅のまま使用することが可能
障がい者グループホームと建築基準法②居室の広さや環境
障がい者グループホームの居室の広さは、建築基準法上、収納設備などを除き「7.43㎡(約4.5畳)以上」と定められています。原則1人部屋ですが、利用者のサービス提供上必要と認められる場合は、2人部屋も可能です(夫婦の場合など)。
また、採光や換気についての基準も。採光は居室の床面積「7分の1以上」、換気は「20分の1以上」の窓や開口部が必要です。
まとめ
建築基準法は、特に障がい者グループホームの開業時に大きく関わります。しかし、開業初心者では難解な基準や手続きもあるため、スムーズに準備を進めたい場合は障がい者グループホームに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献