重度訪問介護事業の指定申請をする前に
重度訪問介護事業の指定申請は、開業者が法人格を有することが前提です。資金調達時の融資申請においても、法人格が必要になってきます。法人設立後は、定款の事業目的に重度訪問介護を行う旨を記載しましょう。
また、重度訪問介護事業は人員・設備・運営の3基準をクリアした上で指定申請をします。
今回は指定申請の流れを期間別に紹介するため、余裕を持って開業準備に取り掛かりたい方は必見です。
「重度訪問介護事業の指定申請」10のステップを予習しておこう
重度訪問介護事業の指定申請時には、次のようなステップを踏んでいきます。中には開業者だけで対応しきれず、重度訪問介護事業に精通した専門税理士などの協力が不可欠なものもあります。
1.サービス提供責任者や従業員を確保する
重度訪問介護事業のような訪問系サービスは、管理者以外の全ての従業員が有資格者。これは、利用者の支援時、1人あるいは2人1組で向かうため、1人ひとりに高い介護力が求められるからです。
サービス提供責任者や従業員などの人員基準を満たすということは、有資格者を確保するということになるため、指定申請の準備をする前に動き出した方が得策です。
2.事務所用の物件を選定する
入所系・通所系サービスの物件選びは、指定日の約半年前から始めることが多いです。しかし、重度訪問介護事業の場合は利用者が過ごすスペースがないため、それほど大きな建物を必要とせず、比較的物件の選定は用意でしょう。
条件によっては自宅兼事務所も可能であり、開業資金を大幅に削減することもできます。
3.法人を設立する
指定申請や融資制度の活用のために、法人を設立します。NPO法人は半年かかりますが、株式会社や合同会社などは2週間ほどで設立完了。法人の設立資金や、将来的な事業展開などを踏まえ、ビジョンに最も合致する法人を設立していきましょう。
4.管轄の行政庁へ事前相談する
指定日の3~4か月前には、管轄の行政庁へ指定申請の事前相談をします。本申請する際に「内容不備で開業できなかった」とならないよう、この時点でしっかり協議することが大切です。
5.賃貸借契約や住居の内装・備品を整備する
物件選定時に契約せず、押さえてもらっていた場合は、この時点で契約を交わします。事務室や相談室などの内装が整い次第、写真に納め、指定申請時に添付しましょう。
6.申請書類を提出する
各種基準を満たした証である指定申請書類を、管轄の行政庁へ提出します。申請が予定よりも遅れると、事業所の家賃や人件費等が無駄に増えるリスクも。行政書士や税理士などの専門家へ相談・代行依頼しながら、予定通りに指定申請したいところです。
7.受理と審査
指定申請が受理された後は、書類のチェックと審査が行われます。次に控える現地調査に向けて、事業所内の設備管理をチェックし、運営情報を整理しておくと安心です。
8.現地確認を受ける
管理者立会いのもと、事業所が指定申請の書類と同じ状態にあるかどうかを確認されます。
9.指定通知書送付
指定通知書が重度訪問介護事業を開業する所在地へ送付されます。
10.開業
1日付で指定が決定し、晴れて開業。
まとめ
重度訪問介護事業の指定申請は、集客などの開業準備のかたわら、たくさんの書類をミスなく準備する必要があります。開業準備に専念したい方、開業スケジュールに余裕を持たせたい方は、ぜひ障がい福祉専門の税理士へ相談してみてください。
参考文献