障がい者施設の開業資金はサービスによって違う?
障がい者施設の開業資金は、入所系・通所系サービスで1000万円~1500万円、訪問系サービスで100万円~300万円ほど必要だと言われています。この2つに大きな差が出ているのは、利用者が過ごすスペースの有無が要因です。入所系・通所系サービスは利用者が安全に過ごしやすいようにさまざまな設備を整えるため、その分の資金が必要になってくるのです。
また、サービスの内容に関わらず、開業後3か月~6か月分の運転資金は準備しておきましょう。経営が軌道に乗るまでに時間がかかったり、予期せぬ事態(昨今ではコロナ禍など)に対応したりするとき、運転資金に余裕があると精神的な余裕も生まれます。
障がい者施設の資金調達先は
多額の資金を必要とする障がい者施設の開業ですが、どのような場所から資金調達すればよいのでしょうか。ここでは、主な資金調達先として4つ紹介します。
個人調達
最も簡単な方法は、個人資産を自己資金として資本とする方法です。ただし、経営難になると自分の資産をも失う恐れもあり、要注意。
また、消費者金融などを利用したり、親族や知人から借入たりする方法もあります。どちらも自由度が高いものの、利息の高さや金銭トラブルがネックになる場合も少なくありません。
他企業からの出資
株式を譲渡して、他企業から出資を受け入れる方法もあります。ただし、経営権を握られないように、譲渡比率が過半数を超えない程度に抑える工夫が必要です。
融資制度
金融機関や日本政策金融公庫の融資制度も、障がい者施設の資金調達先として挙げられるでしょう。
金融機関
第三者機関が介入せず、銀行が100%の責任を負う「プロパー融資」は審査が非常に厳しいため、開業前や直後はあまりおすすめできません。
一方「信用保証協会付き融資」は、信用保証をつけることで借入しやすくなります。しかし、申請から入金までに1か月以上かかる上、支払利息だけでなく保証料が発生する点はデメリットに感じることも多いです。また、一般社団法人では受けることはできません。
また「銀行ビジネスローン」は新規取引先でも2週間程度で審査が終わり、通常の銀行融資が受けにくい場合の資金調達方法として利用可能。ただし、金利が高く、手続きが煩雑なため、障がい者施設の開業準備と並行するのは少し難しいといえます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は創業者やソーシャルビジネスの開業者を積極的に応援しており、障がい者施設の資金調達先としても非常に有効。金利がやや高めですが、借入金額によっては無担保・無保証も可能な点は大きなメリットとなるでしょう。
補助金・助成金
事業費の補助額が大きく、対象枠も多い補助金・助成金。中には、事業費の3/4も補助してくれる制度もあります。ただし、提出書類が多い上に申し込み期間が短いことや、計画から実際に開業するまでに約2年前後かかることが多いことなどから、開業資金よりも運転資金として調達する方が得策といえます。
まとめ
障がい者施設の設立には、何百・何千万単位での資金調達が必要です。資金調達先として金融機関や補助金・助成金を選ぶ際には、障がい者施設に詳しい「障がい福祉専門の税理士事務所」と協力し、スムーズに資金調達できるように準備していきましょう。
参考文献