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就労継続支援A型では従業者だけではなく、利用者とも雇用契約を結びます。そのため、利用者にも労働基準法など労働者にかかわる法律が適用され、不当解雇などは避けるべき事案です。

しかし、令和3年に札幌の事業所にて、施設閉鎖にともなう整理解雇が行われました。これを不服とした従業者・利用者は、解雇無効や慰謝料の支払いを求めて裁判を起こしています。

そこで今回は就労継続支援A型の解雇をめぐる裁判について、その概要や判決内容を紹介します。

就労継続支援A型の解雇をめぐる裁判の背景

札幌で就労継続支援A型を運営していた被告会社は、事業の終了とともに施設を閉鎖するとして、従業者・利用者の全員に解雇を通達しました。通達から解雇までは以下の流れであり、従業者や利用者に対する説明や配慮が不十分だったことがうかがえます。

就労継続支援A型事業所の対応
平成29年3月30日 解雇予告通知書の交付
平成29年4月18日 説明会の実施
平成29年4月30日 解雇・施設閉鎖を告知

そこで従業者2名と利用者8名は解雇の無効を主張し、慰謝料の支払いを求める裁判を起こしました。

就労継続支援A型の解雇をめぐる裁判の判決

本件における一審と控訴審の判決内容は、それぞれ以下のとおりです。

一審判決 控訴審判決
解雇の有効性 有効 無効
恩外賠償 ・慰謝料各5万円

・弁護士費用各5,000円

・逸失利益(※)最大給与6か月分

・慰謝料各30万円

・弁護士費用各3万円

※本来得られたはずの収入

一審判決では整理解雇の要件が認められたことで有効とした一方で、障がい特性に応じた配慮義務を怠ったとして慰謝料の支払いが命じられました。ここで、従業者2名と利用者4名(元の半数)が控訴します。

対して、控訴審では以下に挙げるような解雇回避のための努力が不十分として、解雇は無効と判断されました。

  • 再就職の都合等を考慮した閉鎖時期の決定
  • 合意退職に応じてもらえるような調整 など

最終的に上告は棄却され、控訴審の判決が確定しました。

 

まとめ

就労継続支援A型は従業者だけではなく利用者とも雇用契約を締結するため、障がい特性への配慮はもちろん、労働基準法などを考慮した対応が必要になります。

開業や運営でお悩みの方は、就労継続支援A型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。

参考文献

厚生労働省|就労継続支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

裁判所|裁判例結果詳細

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