居宅介護と同行援護は、どちらも訪問系の障がい福祉サービスに分類されます。とくに居宅介護の通院等介助と同行援護は混同されやすく、「何が違うのか」「併用は可能なのか」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
そこで今回は居宅介護と同行援護の違いについて、対象者から収支差率まで5つの観点から紹介します。
居宅介護と同行援護の違い
2つの違いについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
対象者の違い
対象者の違いは、下表のとおりです。
居宅介護 | 同行援護 | |
障がい支援区分 | 区分1以上 | —(区分の認定を必要としない) |
その他要件 | 【身体介護を伴う通院等介助を利用する場合】
・区分2以上 ・認定調査項目で所定項目のいずれか1つ以上該当 |
・視覚障がいにより、移動が難しい障がい者など
・同行援護アセスメント調査票で所定の項目が1点以上※ |
※「視力障がい」「視野障がい」「夜盲」のいずれか1点以上、かつ「移動障がい」が1点以上
どちらかというと、居宅介護のほうが利用者の幅が広いといえるでしょう。
サービス内容の違い
サービス内容の違いは、下表のとおりです。
居宅介護 | 同行援護 |
・身体介護
・家事援助 ・通院等介助 ・通院等乗降介助 ・生活に関する相談援助 など |
・移動時、危険を回避するために必要な援護
・移動中の介護 ・排泄や食事など外出先で行動する際に必要な援助 など |
もっとも大きな違いは、サービスの提供場所です。居宅介護は自宅や通院先である一方で、同行援護は病院以外の外出先でも支援できます。逆に言うと、2つのサービス範囲は明確に分けられているため、必要に応じて併用することも可能です。
人員配置基準の違い
人員配置基準の違いは、下表のとおりです。
居宅介護 | 同行援護 |
・管理者:常勤1人以上(※)
・サービス提供責任者(サ責):常勤1人以上 ・従業者:常勤換算で2.5人以上 |
・管理者:常勤・専従1人以上
・サービス提供責任者(サ責):常勤・専従1人以上 ・居宅介護員等:常勤換算で2.5人以上 |
※業務に支障がなければ兼務可能
2つの違いは、管理者やサ責の勤務要件にあります。居宅介護は常勤のみである一方で、同行援護は条件に専従も入ってくる点に注意しましょう。
事業所数・利用者数の違い
ひと月平均の事業所数・利用者数の違いは、下表のとおりです。
【事業所数】
令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
居宅介護 | 20,591か所 | 21,064か所 | 21,580か所 |
同行援護 | 5,668か所 | 5,725か所 | 5,725か所 |
【利用者数】
令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
居宅介護 | 185,183人 | 192,419人 | 197,344人 |
同行援護 | 23,997人 | 24,977人 | 25,805人 |
同行援護は事業所数に大きな変化はないものの、利用者数が増えています。令和元年度から令和2年度にかけて利用者数が一旦大きく減っていることから、コロナ禍が増減に影響していると推測されます。
収支差率の違い
収支差率の推移は、下表のとおりです。
令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | |
居宅介護 | 8.4% | 8.3% | 6.9% |
同行援護 | 8.7% | 6.2% | 5.6% |
いずれも全体平均の5%を上回っていますが、居宅介護のほうがより安定しているといえるでしょう。
まとめ
居宅介護と同行援護は、対象者やサービス内容に大きな違いがあります。開業準備や運営でお悩みの方は、居宅介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献