保育所等訪問支援とは保育園や学校などに通う障がい児を訪問し、専門的な支援を提供する障がい福祉サービスです。少子化が叫ばれるなかでも利用者数・事業所数ともに右肩上がりであり、支援の提供体制はまだまだ不足している状況です。
令和6年度の報酬改定では、より一層の支援充実に向けて、さまざまな見直しがかけられました。そこで今回は保育所等訪問支援をピックアップし、報酬改定で変更された内容を紹介します。
保育所等訪問支援の報酬改定における主な変更点
保育所等訪問支援の報酬改定で見直されたのは、主に以下の3つです。
※福祉・介護職員等処遇改善加算など、サービス間で共通する見直し事項は省略しております
基本報酬の算定下限
基本報酬は、訪問支援時間が30分以上とならないと算定できない形へ変更となりました。同時にオンラインを活用しながら、保育所や学校など訪問先と連携し個別支援計画を作成・見直しを行うよう、運営基準が一部改正されています。
加算の新設
令和6年度の報酬改定では、下表の加算が新設されました。
算定要件の概要 | 報酬単価 | |
関係機関連携加算 | 訪問先の施設や利用者の支援に関わる関係機関と会議などを実施 | 150単位/回 |
多職種連携支援加算 | 訪問支援員特別加算の対象となる職員を含め、職種の異なる複数人で訪問支援を実施 | 200単位/回 |
ケアニーズ対応加算 | ・訪問支援特別加算の対象となる職員を配置
・重症心身障がい児など重度の障がい児や医療的ケア児を支援 |
120単位/日 |
強度行動障がい児支援加算 | ・実践研修を修了した職員を配置
・強度行動障がい児(基準20点以上)に対して、基礎研修または実践研修を修了した職員が支援 |
200単位/日 |
家族支援加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 障がい児の家族に対して、個別(Ⅰ)またはグループ(Ⅱ)で相談援助などを実施 | (Ⅰ)80~300単位/回
(Ⅱ)60~80単位/回 |
職種間・関係機関との連携や家族支援などを充実させることで、利用満足度の向上とともに収益確保も期待できるでしょう。
加算の見直し
訪問支援員特別加算の報酬区分と算定要件が、以下のように見直されました。
算定要件の概要 | 報酬単価 | |
見直し前 | 保育士・児童指導員、作業療法士等で障がい児支援の経験が5年以上(※)の職員を配置
※その他職員は10年以上 |
679単位/日 |
見直し後 | 保育士・児童指導員、作業療法士等で障がい児支援の経験が5年以上(※)の職員を配置し、当該職員が支援
(Ⅰ)経験10年以上の職員(保育所等訪問支援等の経験がある方は5年以上) (Ⅱ)経験5年以上10年未満の職員(保育所等訪問支援の経験がある方は3年以上) |
(Ⅰ)850単位
(Ⅱ)700単位 |
上記により、当該職員を配置するのみでは算定できなくなっています。保育所等訪問支援の経験があると算定要件をより早く満たせるため、既存職員にはなるべく長く従事してもらえるよう職場環境の整備も大切になってくるでしょう。
まとめ
保育所等訪問支援の報酬改定では、集団生活を送る利用者やその家族への支援がより一層求められる形へと見直されました。経営や運営でお悩みの方は、保育所等訪問支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献