居宅介護を開業する際は、人員・設備・運営という3つの基準をクリアする必要があります。このうち、事業の方針を規程として定めるのが運営基準です。
書類の作成とはいえ記載内容は多岐にわたるため、「抜け漏れがないか不安」「参考になるモデルはないのか」と思う方も多いでしょう。そこで今回は居宅介護の運営規程について、記載する事項一覧や作成時の注意点を紹介します。
居宅介護の運営規程に記載する事項
居宅介護の運営規程に記載する事項は、以下のとおりです(参考:東大阪市の例)。
記載内容の例 | |
事業の目的 | 常に利用者の立場に立った支援の提供を確保する、など |
運営の方針 | 利用者の状況や環境に応じて各種支援を提供する、など |
事業の運営 | 第三者への委託は行わない、など |
事業所の名称等 | 正式な名称と所在地、実施地域など |
職員 | 職種や員数、職務の内容など |
営業日等 | 営業日・時間、サービス提供日・時間など |
対象者 | 各障がい者や障がい児、難病等対象者など |
支援内容 | 居宅介護計画等の作成や各サービスの提供内容など |
受領する費用等 | 費用の種類や金額など |
利用者負担額等にかかる管理 | 高額障がい福祉サービス費算定基準額を超えたときの対応など |
緊急時対応 | 必要な措置や報告、損害賠償など |
苦情解決 | 窓口の設置や改善に向けた対応など |
個人情報保護 | 個人情報の保護方法や雇用契約上の内容など |
虐待防止 | 担当者の選定や研修の実施など |
その他 | 採用時の研修や各種記録の保管など |
必要事項は多岐に渡るため、各都道府県や市町村が公開しているモデルを参考にしながら1つずつ丁寧に記載していきましょう。
居宅介護の運営規程を定める際の注意点
令和6年度の報酬改定では、以下に挙げる3つの減算が創設されました。
- 虐待防止措置未実施減算
- 業務継続計画未策定減算
- 情報公表未報告減算
そのため、それぞれの運用について既存事業者も運営規程の見直しや加筆が必要になります。
また、運営規程では、利用者の権利や自由を制限する内容は記載してはいけません。利用者満足度・従業員満足度の高い事業所になるよう、明確かつ公正な規程を定め、健全な運営を心がけましょう。
まとめ
居宅介護の運営規程は、重度訪問介護や同行援護など併設するサービスが多くなるほど記載内容が増えます。開業準備や書類の作成でお悩みの方は、居宅介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献