児童発達支援とは未就学児を対象に、療育などを提供する障がい福祉サービスです。令和6年度の報酬改定では多方面で見直しがあり、情報収集や事業運営への反映に苦慮している方も多いでしょう。
そこで今回は児童発達支援をピックアップし、報酬改定で変更された内容を紹介します。
児童発達支援の報酬改定で見直された事項
児童発達支援の報酬改定では、実に27もの項目で見直しがかけられました。ここでは主な変更点として、4つを紹介します。
※福祉・介護職員等処遇改善加算など、サービス間で共通する見直し事項は省略しております
児童発達支援センターの一元化
児童発達支援センターの基準や基本報酬は従来、福祉型と医療型に分けられていました。また、福祉型の中でも障がい児・難聴児・重症心身障がい児の3類型がありましたが、いずれも一元化されることになります。
一元化後は基準・基本報酬ともに、現行の福祉型(障がい児)にそろえる形になるとのことです。経過措置機関は令和9年3月31日までであり、上記以外のサービス類型にあたる事業所は人員や設備の調整が必要になります。
基本報酬の見直し
従来の報酬区分に加えて以下のように支援時間別の区分が追加され、よりきめ細かい評価となっています。
- 30分以上1時間未満
- 1時間30分超3時間以下
- 3時間超5時間以下
なお、30分未満の支援時間は原則、算定対象外です。また、5時間を越える支援は延長支援加算の対象となります。
各種加算の見直し
各種加算で見直された内容の概要は、下表のとおりです。
見直し内容の概要 | 報酬単価 | |
児童指導員等加配加算 | 勤務形態や経験年数に応じた評価へ変更 | 11~187単位/日 |
専門的支援体制加算 | 専門的支援加算と特別支援加算を統合 | 15~150単位/日 |
関係機関連携加算 | (Ⅲ)と(Ⅳ)の報酬区分を追加 | 150~250単位/回 |
医療連携体制加算 | (Ⅶ)の報酬単価を引き上げ、かつ重症心身障がい児を支援する事業所も算定可能へ | 250単位/日 |
送迎加算 | 報酬区分を細分化 | 40~134単位/回 |
上記以外にも、以下のような加算で算定要件や報酬単価が見直されています。
- 強度行動障がい児支援加算
- 個別サポート加算
- 人工内耳装用児支援加算
- 家庭連携加算
- 事業所内相談支援加算
- 延長支援加算
- 保育・教育等移行支援加算
- 食事提供加算
加算の新設
令和6年度の報酬改定で新設された加算は、下表のとおりです。
算定要件の概要 | 報酬単価 | |
中核機能強化加算(Ⅰ)~(Ⅲ) | 児童発達支援センターが障がい児支援の中核拠点として専門的かつ包括的な支援を提供 | 22~155単位/日 |
中核機能強化事業所加算 | 児童発達支援事業所が障がい児支援の中核拠点として専門的かつ包括的な支援を提供 | 75~187単位/日 |
事業所間連携加算 | 複数事業所を併用する利用者について、事業所間で情報共有等を実施 | 150~500単位/回 |
入浴支援加算 | 医療的ケア児または重症心身障がい児へ発達支援とあわせて入浴支援を実施 | 55単位/回 |
共生型サービス医療的ケア児支援加算 | 共生型サービスで医療的ケア児に支援を実施 | 400単位/日 |
上記以外にも、以下のような加算が創設されているため、算定要件や報酬単価をチェックしておきましょう。
- 視覚・聴覚・言語機能障がい児支援加算
- 子育てサポート加算
まとめ
児童発達支援の報酬改定では、障がい福祉サービスの中でももっとも多くの変更点がありました。経営や開業準備でお悩みの方は、児童発達支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献