就労継続支援B型とは利用者に対し、就労に必要な知識・スキルの習得などを支援する障がい福祉サービスです。利用者数・事業所数ともに年々増加し、就労機会の獲得だけではなく、新たな「居場所」という意味合いも強くなっています。
令和6年度の報酬改定では、就労継続支援B型も大きな見直しがかけられました。そこで今回は就労継続支援B型をピックアップし、報酬改定で変更された内容を紹介します。
就労継続支援B型の報酬改定で見直された事項
就労継続支援B型の報酬改定で見直された内容は、主に以下の3つです。
※福祉・介護職員等処遇改善加算など、サービス間で共通する見直し事項は省略しております
平均工賃月額に応じた報酬体系
従来から設けられている同報酬体系の基本報酬は、平均工賃月額が高い区分は引き上げ、低い区分は引き下げる見直しがなされました。
また、人員配置6:1の報酬体系が新たに新設され、手厚い支援が評価される形になっています。これにともない、目標工賃達成指導員配置加算も下表のように変わりました。
配置人数 | 報酬単価 | ||
目標工賃達成指導員 | 手厚い人員体制※ | ||
見直し前 | 1人以上 | ①7.5:1以上
②6:1 |
72単位~89単位 |
見直し後 | 1人以上 | ①6:1
②5:1 |
36単位~45単位 |
※①は職業指導員と生活支援員の総数、②は先に加え目標工賃達成指導員の総数
さらに、新しい加算として目標工賃達成加算が新設されました。同加算は工賃向上計画を事業所でも作成し、記載された目標を達成した場合に算定できます。報酬単価は10単位/日です。
利用者の就労や生産活動等への参加等を評価する報酬体系
同報酬体系は、令和3年度の報酬改定で新設された基本報酬のタイプです。令和6年度では収支差率を踏まえ、短時間利用が多い場合の減算が新たに設けられました。
適用条件 | 減算率 | |
短時間利用減算 | 利用時間が4時間未満の利用者が、全体の5割以上いる場合 | 30%(基本報酬×70%) |
ただし、以下に該当する利用者は上記条件の割合から除外され、利用者の母数にのみ含めます。
- 一般就労などに向けて利用時間延長のための支援が設けられ、実行している
- 短時間利用となるやむをえない事情がある(重度の障がいなど)
平均工賃月額の算定方法
障がい特性などによって利用日数が少ない方が多い事業所もあることを考慮し、算定方法が以下のように変わりました。
計算式 | |
1.前年度の工賃支払い総額を算出 | — |
2.前年度の開所日1日あたりの平均利用者数を算出 | 前年度の延べ利用者数÷前年度の年間開所日数 |
3.1人あたりの平均工賃月額を算出 | 1.の数値÷2.の数値÷12か月 |
上記により、事業所の取り組みがより適切に評価される報酬体系へと見直されています。
まとめ
就労継続支援B型の報酬改定では報酬区分の新設や算出時の基準など、根本的な部分にも見直しがかけられました。経営や開業準備でお悩みの方は、就労継続支援B型に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献