居宅介護は基本的に1人の介護者が訪問して対応にあたりますが、場合によっては2人介護をするケースも出てきます。これから開業する方からすると、「どのようなときに2人介護が必要なのか」「2人も1か所に派遣して、採算は取れるのか」など疑問があるでしょう。
そこで今回は居宅介護の2人介護について、要件や基本報酬の取り扱いはもちろん、派遣パターン別の留意点を紹介します。
居宅介護の2人介護とは?
2人介護とは、身体介護などの居宅介護サービスを提供する際に、2人の介護者が訪問し対応するケースを指します。ここでは、2人介護が可能となる要件や基本報酬の取り扱いについて見ていきましょう。
要件
2人介護が認められるのは、以下のようなケースです。
- 1人では介護の安全性が確保できない場合(身体的理由など)
- 強度行動障がいなどにより、暴力行為や器物破損などがある場合
このように、利用者本人の安全を確保するだけではなく、介護者の身を守る意味でも2人介護が必要となるケースがあります。なお、居宅介護で提供できるサービスのうち、2人介護が認められているのは以下の3つです。
- 身体介護
- 通院等介助
- 通院等乗降介助
家事援助は2人介護の対象外となるため、混同しないように注意しましょう。
基本報酬の取り扱い
2人介護の基本報酬は従来の200%、つまり2倍の単価で算出されます。たとえば、居宅での身体介護における基本報酬は、下表のように変わってきます。
【身体介護】
1人介護の場合 | 2人介護の場合 | |
30分未満 | 256単位 | 512単位 |
30分以上1時間未満 | 404単位 | 808単位 |
1時間以上1時間30分未満 | 587単位 | 1,174単位 |
1時間30分以上2時間未満 | 669単位 | 1,338単位 |
2時間以上2時間30分未満 | 754単位 | 1,508単位 |
2時間30分以上3時間未満 | 837単位 | 1,674単位 |
3時間以上 | 921単位 | 1,842単位 |
厚生労働省のデータによると区分3以上の利用者が増えていることから、今後は2人介護が必要な場面も多くなってくるでしょう。
なお、基本報酬の増加は、利用料にも影響します。利用料は総じて高くなるため、2人介護を実施する際は利用者や家族の同意が必須な点にも留意しましょう。
【パターン別】居宅介護の2人介護における注意点
2人介護が行われるパターンは、以下の2つです。
- 同じ事業所から2人の介護者を派遣する
- AとB、2つの異なる事業所から1人ずつ介護者を派遣する
前者の場合、2人介護として基本報酬を算定できるのは、同一時間に介護した場合です。時間をずらして交代した場合は適用外となります。
また、後者の場合は、基本報酬を請求する際のサービスコードに注意が必要です。ABいずれかの事業所は従来のものではなく、2人目のサービスコードを明細書に記載する点に留意しましょう。
まとめ
中等度~重度障がいの利用者が増えてきた近年では、居宅介護でも2人介護が必要となる場面が多くなってくると予測されます。開業準備や人員確保でお悩みの方は、居宅介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献