障がい者グループホーム運営の収益源は、国から支払われる報酬です。しかし、東京都では国とは別に、都加算・区加算を設けています。
そこで今回は障がい者グループホームの都加算・区加算とは何か、算定要件や具体例を紹介します。
障がい者グループホームの都加算・区加算とは?
都加算・区加算とは、一定の条件を満たした場合に基本報酬などへ上乗せ請求できる加算です。具体的な条件は、下表のとおりです。
都加算 | 区加算 | |
事業所の条件 | 「東京都内」で指定を受けた | 「東京都以外」で指定を受けた |
利用者の条件 | 「東京都内」で支給決定した |
サービス提供月の翌月10日までに、東京都の各区市町村へ請求します。基本報酬などの請求先(国保連)とは異なるため、請求漏れや遅れに注意しましょう。
障がい者グループホームにおける都加算の例
障がい者グループホームにおける都加算は、主に以下の4つです。
運営費の助成
事業所所在地 | ||||
都外 | 都内 | 区内 | ||
対象 | 知的・身体・難病 | ✕ | ◯ | ◯ |
精神 | ✕ | ◯ | ◯ |
運営費の助成では、「障がい支援区分に応じた都加算日額単価かける基準日数額」が支払われます。
都加算日額単価は、東京都福祉局の公開ページなどから確認が可能です。なお、夜間加算や精神科医療連携体制加算にも上乗せ算定できます。ただし、計算がやや煩雑なため、不安がある場合は障がい者グループホームに精通した税理士へ相談するとよいでしょう。
家賃助成
事業所所在地 | ||||
都外 | 都内 | 区内 | ||
対象 | 知的・身体・難病 | ◯ | ◯ | ◯ |
精神 | ✕ | ✕ | ✕ |
家賃助成は、入居者の口座に所得額に応じた助成金が支払われます。具体的な支払額は、下表のとおりです。
入居者の所得額 | 助成上限額 |
73,000円未満/月 | 24,000円/月 |
73,000円/月以上
97,000円/月未満 |
12,000円/月 |
いずれも家賃が助成上限額を下回る場合は、当該家賃の額が支払われます。なお、生活保護受給者は対象外です。
施設借上費
事業所所在地 | ||||
都外 | 都内 | 区内 | ||
対象 | 知的・身体・難病 | ✕ | △ | △ |
精神 | ✕ | ◯ | ◯ |
施設借上費は、以下にかかった金額が障がい者グループホームの口座に支払われます。
- 家賃
- 更新料
- 礼金
上限額は69,800円ですが、補足給付対象者や生活保護受給者は控除の算出が必要です。
通過型加算
同加算は、通過型グループホーム(※)に適用される加算です。
※おおむね3年以内に単身生活への移行を目指す障がい者グループホーム
【事業加算】
事業所所在地 | ||||
都外 | 都内 | 区内 | ||
対象 | 知的・身体・難病 | ✕ | △ | △ |
精神 | ✕ | ◯ | ◯ |
【施設借上費】
事業所所在地 | ||||
都外 | 都内 | 区内 | ||
対象 | 知的・身体・難病 | ✕ | ✕ | △ |
精神 | ✕ | ✕ | ◯ |
事業加算は1人あたり926円/日、施設借上費は1事業所あたり69,800円/月が支払われます。
障がい者グループホームにおける区加算の例
運営費の助成や施設借上費などは、区独自でも加算を設けているケースがあります。都加算も含め、算定を検討する場合は各区市町村へあらかじめ確認しましょう。
まとめ
障がい者グループホームの都加算・区加算は、基本報酬などへ上乗せ算定できるため、経営の安定化に少なからず寄与します。開業や経営でお悩みの方は、障がい者グループホームに強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献