生活介護では、通常のサービス提供時間を超過して支援した場合、延長支援加算を算定できます。しかし、令和6年度の報酬改定では基本報酬の大きな変更にともない、同加算も報酬区分が変わりました。
そこで今回は令和6年度の報酬改定に即して、延長支援加算の算定要件や報酬単価などを紹介します。
生活介護の延長支援加算とは?
同加算の算定要件と報酬単価は、それぞれ以下のとおりです。
算定要件
同加算は、営業時間の前後に直接支援を提供した場合に算定できます。なお、送迎時間は延長支援には含まれません。また、施設入所者は延長支援加算を算定できないため、注意しましょう。
報酬単価
同加算の報酬単価は従来、延長時間によって61単位/日(1時間未満)と92単位/日(1時間以上)の2つがありました。しかし、後述のように基本報酬が改定されたため、報酬区分は下表のように変更されています。
所要時間(=営業時間+延長時間) | 報酬単価 |
9時間以上10時間未満 | 100単位/日 |
10時間以上11時間未満 | 200単位/日 |
11時間以上12時間未満 | 300単位/日 |
12時間以上 | 400単位/日 |
たとえば、9時間以上10時間未満の対象者が5人いた場合、1日あたりの報酬額は以下のように算出できます。
報酬単価×人数×地域区分(10円)
=100単位×5人×10円
=5,000円
令和6年度の報酬改定で延長支援加算が見直された経緯
令和6年度の報酬改定で同加算が見直されたのは、基本報酬の算定構造が変化したためです。生活介護の基本報酬は報酬改定により、利用定員規模が細分化され、かつサービス提供時間の評価に変わりました。
たとえば、改定前の利用定員規模は「20人以下」からでしたが、改定後は「6人以上10人以下」「5人以下」が追加されました。20人ごとだった報酬区分も、10人ごとになっています。
また、生活介護の運営実態に即した評価にすべく、サービス提供時間別に細やかな設定へ見直されました。具体的な変化として、定員20人前後の基本報酬を見てみましょう。
【報酬改定前】
区分6 | 区分5 | 区分4 | 区分3 | 区分2以下 | |
定員20人以下 | 1,288単位 | 964単位 | 669単位 | 599単位 | 546単位 |
【報酬改定後】定員11人以上20人以下の場合
区分6 | 区分5 | 区分4 | 区分3 | 区分2以下 | |
3時間未満 | 517単位 | 386単位 | 268単位 | 239単位 | 218単位 |
3時間以上
4時間未満 |
646単位 | 483単位 | 335単位 | 300単位 | 273単位 |
4時間以上
5時間未満 |
774単位 | 578単位 | 401単位 | 358単位 | 327単位 |
5時間以上
6時間未満 |
904単位 | 676単位 | 469単位 | 419単位 | 381単位 |
6時間以上
7時間未満 |
1,258単位 | 941単位 | 652単位 | 583単位 | 532単位 |
7時間以上
8時間未満 |
1,291単位 | 966単位 | 669単位 | 598単位 | 545単位 |
8時間以上
9時間未満 |
1,353単位 | 1,027単位 | 730単位 | 660単位 | 607単位 |
これらにより、事業所の取り組みが適切に評価され、かつ利用者数の変動などに対しても柔軟に対応できるようになっています。
まとめ
生活介護の延長支援加算は、令和6年度の報酬改定で大きく変わりました。加算の算定や経営でお悩みの方は、生活介護に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献