障がい福祉サービス事業所では利用者の受診に付き添ったり、職員の集団健診を行ったりと、医療機関と関わるシーンが多々あります。実は医療機関の利用も、シーンによってはインボイス制度が影響します。
そこで今回はインボイス制度と医療機関について、利用者が受診する場合や企業が自費診療を委託する場合などにおける対応を紹介します。
インボイス制度と医療機関①利用者が受診する場合
利用者の受診では、消費税の申告が不要です。つまり、仕入税額控除を受ける必要もなく、適格請求書(インボイス)の交付も不要となります。
インボイス制度と医療機関②企業が自費診療を委託する場合
以下のような自費診療を企業として医療機関に委託している場合、適格請求書の発行が必要になる可能性があります。
- 健康診断
- 予防接種
- コンサルティング など
事業所に医師が訪問し、職員の予防接種などをまとめて実施する場合は、該当する可能性が高いでしょう。具体的なインボイスの要否は、下表のとおりです。
自費診療 | |||
あり | なし | ||
事業者の課税・免税 | 課税 | 必要 | 不要 |
免税 | 不要 | 不要 |
そのほか、自費診療の売上が年間1,000万円超の医療機関は、インボイス制度に対応します。健康診断や予防接種を委託している医療機関はどのような対応を取っているか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
インボイス制度に医療機関が対応していなかった場合
障がい福祉サービス側が課税事業者で、免税事業者の医療機関に自費診療を委託している場合、仕入税額控除を受けられない可能性があります。50〜80%の仕入税額控除が受けられる経過措置があるものの、従来よりも額が下がるのは同じです。
インボイス制度に医療機関が対応していなかった場合、以下のような内容を検討する必要があります。
- 課税事業者の医療機関へ委託先を変える
- 既存の医療機関との取引金額を下げる など
判断に迷う場合は、障がい福祉サービスとインボイス制度の双方に精通した専門税理士へ相談するのがおすすめです。
まとめ
医療機関の利用も、内容によってはインボイス制度への対応が必要になってくるものがあります。「何をどこまで対応すればよいか、いまいちわからない」とお悩みの方は、インボイス制度にも強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献
国税庁|消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A