近年、インボイス制度や電子帳簿保存法など、経理関係の制度・法律が次々と新設・改定されています。
これから開業する方はもちろん、開業からしばらく経った事業者も、「たびたび内容が変わるため、理解が追いつかない」という悩みを持つこともあるでしょう。そこで今回はインボイス制度と電子帳簿保存について、2つの違いや関係性を紹介します。
インボイス制度と電子帳簿保存法の違い
まずは、インボイス制度と電子帳簿保存法の基礎知識を押さえていきましょう。
インボイス制度とは
インボイス制度とは、仕入税額控除を正しく算出するために導入された制度です。そもそもインボイスとは、売買などの金銭が発生する取引において、正確な適用税率や消費税額などを伝えるために作成・送付する書類を指します。
インボイスを交付できるのは、発行事業者として登録した企業や個人事業主です。授受したインボイスは7年間保存する義務があり、この点が電子帳簿保存法と深く関わってきます。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは帳簿や書類を従来の紙だけではなく、電子データとして保存することも認めた法律です。保存方法は、下表の3つに分けられます。
保存区分 | 概要 |
電子帳簿保存 | 帳簿や決算書類を電子データで保存する |
スキャナ保存 | 紙で受領した取引関係書類をスキャンして保存する |
電子取引データ保存 | 電子データで受け取った書類をそのまま電磁的に保存する |
電子帳簿保存とスキャナ保存は任意ですが、電子取引データ保存のみ、2024年1月1日からすべての事業者が対応するよう義務化されます。電子データで受け取った場合は、紙媒体に印刷して保存しないようにしましょう。
インボイス制度と電子帳簿保存法の関係
前述したように、適格請求書の保存時に電子帳簿保存法が関係してきます。紙媒体で受け取った適格請求書を電磁的に保管する場合は、真実性や可視性の確保といったスキャナ保存の要件を満たすことが必要です。
また、メールやシステムを介して交付する適格請求書は、「電子インボイス」または「デジタルインボイス」と呼ばれます。電子取引データ保存に該当するため、社内のパソコンやクラウドストレージなどで保管しましょう。
なお、電子化を進めると印刷や郵送が不要になり、業務負担の効率化や生産性向上につながります。体制を整えるまでには時間と労力がかかりますが、インボイス制度を機に電子化を進め、将来の企業成長につなげましょう。
まとめ
インボイス制度と電子帳簿保存法はどちらも比較的新しいルールであり、今後もさまざまな改定が加わると予測されます。制度や法律に応じた対応に不安がある方は、インボイス制度にも強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献