就労移行支援は通所中に収入を得られないことから、利用をためらう方も少なくありません。そのような方でも安心して通所できる方法のひとつが、生活保護の受給です。
事業者も生活保護について理解を深めておくと、希望者へ条件や手続きの流れを説明でき、利用者の獲得や通所継続につながります。そこで今回は生活保護を受けても就労移行支援を利用するうえで必要な条件や、注意点などを紹介します。
生活保護を受けていても就労移行支援を利用できるのか?
結論から言うと、就労移行支援は生活保護を受けていても利用できます。なお、就労移行支援を含めた障がい福祉サービスでは、生活保護受給世帯において利用料の負担がありません。
つまり、生活保護を受けながらの就労移行支援を利用することは、以下に挙げる3つのメリットにつながります。
- 金銭面の不安を払拭できる
- 就労スキルを身に付けられる
- 働き続けやすい就職先を見つけられる など
事業者側としても利用者を確保しやすくなるため、収入面をネックに利用をためらっている方がいれば、選択肢のひとつとして生活保護を提示するとよいでしょう。
就労移行支援で生活保護を受けるための条件と手続き
ここでは、生活保護を受けるための条件と手続きの流れを紹介します。
受給条件
生活保護を受けるためには、以下の要件を満たすことが必要です。
- 世帯収入が13万円より少ない
- 親族などからの支援が受けられない
- 病気やけがで働けず収入がない
- 預貯金や土地などの財産を有していない
- 福祉事務所の調査に協力的である
申請するときに必要な書類などはとくにありませんが、まずは最寄りの福祉事務所に相談するよう促すとよいでしょう。
手続きの流れ
生活保護を受けるための手続きは、以下のとおりです。
- 福祉事務所へ相談する
- 担当者と面談する
- 申請書を提出する
- 福祉事務所の調査を受ける
- 支給が決定する
生活保護の受給決定までの期間は原則として14日以内ですが、申請内容の調査によっては最長30日程度かかる場合もあります。
生活保護を受けながら就労移行支援を利用するときの注意点
最後に、生活保護を受けながら就労移行支援を利用するときの注意点を見ていきましょう。
交通費や昼食代は自己負担になる
就労移行支援では生活保護を受給していると利用料がかからないものの、一部費用は実費になります。
ただし、送迎や食事などのサービスは、関連加算などを算定しながら提供することも可能です。通所を希望・継続してもらうためにも、利用者の金銭的負担を減らす策を事業所側も積極的に実施していきましょう。
失業保険や障がい年金は一方しか受け取れない
生活保護を受けている間は、失業保険や障がい年金の受給額と相殺される仕組みになっており、総額としてもらえる額は一緒です。
たとえば、生活保護で13万円受け取っている人が障がい年金で3万円支給された場合。生活保護の受給額は10万円となり、結果的に受け取れる総額は13万円と変わらないのです。
ただし、一般就労後の収入を考えて、障がい年金を請求する方もいます。利用者の希望に合わせて、柔軟に対応できるようにしておきましょう。
まとめ
就労移行支援は、生活保護を受けながらでも利用できます。収入面で悩んでいる希望者や利用者がいたら、選択肢のひとつとして生活保護を提示してみるとよいでしょう。
集客や経営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献