就労移行支援は基本的に通所型ですが、市町村が認めた利用者には在宅での支援が可能です。はじめて就労移行支援事業所を開設した人の中には、「在宅時生活支援サービス加算はどのようなものなのだろうか」と思う方もいるでしょう。
そこで今回は在宅時生活支援サービス加算の算定要件や報酬単価のほか、算定する際の注意点について紹介します。
就労移行支援の在宅時生活支援サービス加算とは?
当加算の算定要件や報酬単価は、それぞれ次のとおりです。
算定要件
算定要件は次の5つになります。
- 利用者の日常的な通所が難しく在宅での支援を希望している
- 市町村が認めた利用者である
- 居宅介護または重度訪問介護を利用している
- 在宅での就労移行支援と同時間帯に生活支援が必要である
- 生活支援サービスの費用負担は就労移行支援事業所が行う
事業所において在宅での支援が必要だと判断した利用者については、市町村に開始届の提出が必要です。市町村が認めた場合には利用者の障がい福祉サービス受給者証に「在宅時生活支援」と記載され、加算が可能になります。
ただし、複数の事業所で訓練を行っており、すでに受給者証に記載のある利用者については、新たに開始届を提出する必要はありません。
また、事業所が加算の算定を終了するときに、他事業所において引き続き加算の算定が行われている場合には終了届は不要です。同時間帯で行われた生活支援サービスの費用は事業所で負担する必要があるため、証明できるよう領収書の保管はしっかりと行いましょう。
報酬単価
在宅時生活支援サービス加算は、1日につき300単位となっています。たとえば該当する利用者が3名、1か月のうち1人あたり8回の支援を実施した場合、報酬額は次のように算出できます
利用者数×支援回数×報酬単価×地域単価(10円)
=3人×8回×300単位×10円
=72,000円/月
就労移行支援で在宅時生活支援サービス加算を算定する際の注意点
在宅時生活支援サービス加算を算定する際、適切に支援するために留意しておくべき点は以下の7つです。
- 作業活動を確保して適切な就労移行支援を行う
- 1日2回は連絡や助言などを行い日報を作成する
- 必要に応じて1日2回以上対応する
- 緊急時の対応ができる
- 訓練中にトラブルが発生した場合は訪問や連絡などの対応ができる
- 職員による自宅への訪問や利用者の通所を週に1回は行う
- 月に1回は通所して目標の達成度を評価する
また、在宅で就労移行支援を行う場合、在宅で実施する訓練および支援内容を運営規程に明記しておきましょう。
まとめ
利用者の障がいの度合いや体調によっては、通所が難しく、在宅での就労移行支援が必要になる場合があります。在宅においても、他の障がい福祉サービスと連携しながら適切にサポートすることが大切です。
運営や加算の算定でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献