就労移行支援では、行政による実地指導に備えるために計画書などの書類整備が必要です。しかし、これから事業所の開業を検討している方は、「作成する計画書はどのようなものなのか」と疑問に思うでしょう。
そこで今回は就労移行支援の計画書について、その概要や記載事項などを紹介します。
就労移行支援の計画書とは?
就労移行支援に関わる計画書は、サービス等利用計画と個別支援計画の2種類です。
サービス等利用計画は相談支援事業者が作成するものであり、次の3つがまとめられています。
- 利用者の目標やそのための課題
- 支援内容
- 最も適切なサービスの組み合わせ
一方、個別支援計画は、サービス事業者が作成するものです。サービス等利用計画をふまえ、事業者内での具体的な取り組みを検討し作成します。就労移行支援の計画書は、後者の個別支援計画が該当します。
就労移行支援の個別支援計画書とは?
個別支援計画を作成するときに必要な視点や内容、見直しのタイミングについては、それぞれ次のとおりです。
必要な視点
個別支援計画を作成するときには、利用者の目標や希望と、アセスメントで明確になった課題や支援内容を擦り合わせます。利用者と事業者が同じ目標を定めて、目標を達成するにはどうしたらいいかを考えましょう。
利用者の希望が組み込まれなかったり、事業者の支援だけが押し出されたりすることがないよう、調整する視点が必要です。
必要な内容
個別支援計画に必要な内容は、主に次の5つです。
- 利用者や家族の意向
- 現時点での課題
- 目標およびその到達時期
- 具体的な支援内容
- 事業者としての全体の活動のねらい
なお、個別支援計画は利用者や家族にもわかりやすい言葉で書くようにしましょう。難しい言葉や専門用語は使わず、数値を使って何をどれくらいするのかを具体的に書くと目標や達成度合いなどを共有しやすくなります。
見直しのタイミング
個別支援計画を見直すタイミングは、主に次のような支援ステージの変わり目となります。
- 暫定利用
- 基礎的訓練
- 実践的訓練
- マッチング
- フォローアップ
- 職場定着
たとえば、就労移行支援を利用してからトライアル雇用を経て継続雇用された人の見直しのタイミングは、次の5回です。
- 利用開始
- 暫定支給決定期間終了
- 基礎的訓練期間終了
- トライアル雇用開始
- 継続雇用開始
就労移行支援の個別支援計画の見直しは、就労継続支援よりも頻繁に行われます。あらかじめ到達しやすい目標をこまめに設定すると、利用者の意欲を高められるでしょう。
まとめ
個別支援計画は、不備があると減算や指定取り消しの可能性もある、障がい福祉サービス事業者にとって重要な書類です。本人や家族の意向も踏まえ、取り組みやすい具体的な内容にすることが必要になります。
開業や書類作成でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献