就労移行支援には「障がい者総合支援法」や「建築基準法」「消防法」など、関連するさまざまな法律があります。しかし、開業者にとってそれぞれの法律がどう関わってくるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は就労移行支援に関連する法律の概要や、開業者に関係する部分を紹介します。
就労移行支援に関連する法律
就労移行支援に関連する法律には、支援の根幹となる「障がい者総合支援法」や開業時の指定申請に関わる「建築基準法」「消防法」などがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
障がい者総合支援法
障がい者総合支援法は、障がいを持った人が自立した社会生活を送れるようにさまざまな支援をおこなうことを明記した法律です。元々あった障がい者自立支援法を改正する形で、2013年4月に成立しました。
障がい者総合支援法の対象者は、以下のとおりです。
- 以下の条件に該当する18歳以上の人
- 身体障がい者
- 知的障がい者
- 精神障がい者(発達障がい者含む)
- 18歳未満の障がい児
- 障がい者支援法で指定されている難病患者
障がい者総合支援法で扱う障がい福祉サービスは、「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つがあります。「自立支援給付」は、以下の6種類です。
- 介護給付
- 訓練等給付
- 地域生活支援事業
- 計画相談支援給付
- 自立支援医療
- 補装具
就労移行支援は「訓練等給付」に該当し、一般就労を目指す障がい者を支援することで報酬が発生します。
建築基準法
就労移行支援で使用する施設は、建築基準法の要件を満たしている必要があります。
そして建築基準法の要件を満たした証明である「完了検査済証」は、就労移行支援を改行する際に必要な書類のひとつです。
また就労移行支援で使用する施設は、使用面積が200㎡を超える場合は建築基準法で定められた用途変更の確認申請が必要になります。使用面積は、エリアによって「有効面積」や「延べ面積」など解釈が異なることがあるので申請時には注意が必要です。
消防法
就労移行支援で使用する施設は、消防法上の特定防火対象物に指定されています。そのため、消火器や屋内消火栓、自動火災報知器といった消防用設備の設置が義務付けられています。
また、就労移行支援の指定申請時には、これらの消防用設備の設置を証明する「防火対象物使用開始届」の提出と検査の合格証が必要です。
就労移行支援の法律遵守に不安がある場合は
就労移行支援の開業・運営には、さまざまな法律が関わっています。しかし、開業者だけでは各法律の細かな部分まで理解するのは困難です。とはいえ、理解できないからといってそのまま放置していると、不備によって開業の指定申請や運営がうまく進まないことも出てくるでしょう。
就労移行支援の法律遵守に不安がある場合は、障がい福祉サービスに特化した税理士や行政書士などの専門家に頼るのもひとつの方法です。
まとめ
就労移行支援に関連する法律には「障がい者総合支援法」や「建築基準法」「消防法」があります。開業や法律関連でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献