就労移行支援の利用者は、その多くが障がい者手帳を保有しています。しかし、就労移行支援の利用を希望する方の中には中途障がいなどによって、まだ手帳を保有していない方も少なくありません。
その場合、「手帳なしでも支援を提供できるのか」と疑問に思う事業者もいるでしょう。そこで今回は就労移行支援を手帳なしでも利用できるか、また目にする機会が多い手帳の種類について紹介します。
就労移行支援は手帳なしでも利用できる?
結論から言うと、就労移行支援は手帳なしでも利用できます。就労移行支援の利用に必要なのは受給者証であり、手帳は必須ではないためです。
ただし、受給者証の発行時には障がいの種別や程度を示す必要があり、その手段の1つが次のような障がい者手帳です。
- 身体障がい者手帳
- 精神保健福祉手帳
- 療育手帳 など
障がい者手帳があるとさまざまな助成や免除制度を利用でき、保有のメリットは非常に大きくなります。そのため、利用者の収入事情によっては障がいの程度を踏まえ、手帳の申請を促すことも事業者の重要な役割といえるでしょう。
就労移行支援の利用者が持つ手帳の種類
就労移行支援では、さまざまな手帳を持つ利用者と接します。ここでは手帳の基礎知識として、4つの種類について見ていきましょう。
身体障がい者手帳
身体障がい者手帳の対象は、さまざまな支援やサービスの受給資格を証明するものです。主に、次のような方が対象となります。
- 肢体不自由者
- 視覚障がい者
- 聴覚障がい者
身体障がい者手帳の内容から利用者の障がいの程度を把握し、適切な支援を提供するためのヒントにもなるでしょう。
精神保健福祉手帳
精神保健福祉手帳は、適切な医療や福祉サービスの受給資格を証明するものです。主に、次のような方が対象となります。
- 精神疾患を抱える方
- 適応障がいを経験する方
- 精神的なトラウマや虐待経験による後遺症を抱える方
就労移行支援では必要に応じて、臨床心理士などと協力しながら心理的サポートを提供するケースもあります。
療育手帳
療育手帳は、発達上の問題や学習困難の程度を示した証明書です。主に、次のような方が対象になります。
- 発達障がいを持つ若者
- 知的障がいを持つ若者
- 言語障がいを持つ若者
発達障がいなどを持つ方は、環境変化への適応が難しい傾向にあります。そのため、就労移行支援では就労スキルだけでなく、セルフコントロールの方法をアドバイスするケースも出てくるでしょう。
難病手帳(カード)
難病手帳は現在、国で創設を検討しているものです。難病を患っている方の医療受給者証に、本人証明機能を付随させるなどの策が検討されています。今後創設が決定した場合、就労移行支援の事業者も難病手帳(カード)の知識を深めておく必要があるでしょう。
まとめ
就労移行支援は手帳なしでも利用できますが、保有のメリットが大きい分、利用者の状況によっては申請を進めたい事項でもあります。開業準備や運営でお悩みの方は、就労移行支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へ早めに相談しましょう。
参考文献