児童発達支援は保護者の負担を軽減するために、送迎サービスを展開しているところもあります。そのような場合に算定できるのが、送迎加算です。送迎は車両の維持費やガソリン代、運転手や添乗員の人件費などがかかる分、加算を算定して収益につなげたい事業者も多いでしょう。
そこで今回は児童発達支援の送迎加算について、算定要件や報酬単価のほか、算定時の注意点などについて紹介します。
児童発達支援の送迎加算とは?
児童発達支援で算定できる送迎加算の算定要件や報酬単価は、それぞれ次のとおりです。
算定要件
送迎加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)があり、(Ⅰ)のみ一定の要件を満たすと追加算定ができます。具体的な算定要件は、下表のとおりです。
送迎加算(Ⅰ) | 送迎加算(Ⅱ) |
・障がい児(重症心身障がい児以外)の送迎
・事業所と自宅などの間の送迎
【追加算定の要件】 ・医療的ケアが必要な利用者の送迎 ・看護職員の同乗 |
・重症心身障がい児の送迎
・運転手以外に直接支援に従事するスタッフの配置(1名以上) ・医療的ケアに配慮したスタッフの配置 |
報酬単価
送迎加算の報酬単価は、追加算定の有無や送迎場所によって異なります。具体的な報酬単価は、下表のとおりです。
通常 | 追加算定 | 同一敷地内への送迎 | |
送迎加算(Ⅰ) | 54単位 | 37単位を追加(=91単位) | (Ⅰ)の70% |
送迎加算(Ⅱ) | 37単位 | — | (Ⅱ)の70% |
※いずれも片道あたりの単価
たとえば、送迎加算(Ⅰ)で追加算定が可能な場合、1日あたりの報酬額は次のように算出できます。
報酬単価×2回(往復)×地域区分(10円)
=91単位×2回×10円
=1,820円
児童発達支援で送迎加算を算定する際の注意点
次のような条件の場合、送迎加算は算定できません。
- サービス提供時間が30分以下で、基本報酬が算定できないとき
- 欠席時対応加算(Ⅱ)を算定するとき(併用不可)
- 徒歩での送迎(市町村によっては可)
また、送迎サービスを提供して加算を算定する際は、その旨を証明する記録を残しておきましょう。たとえば、次のような項目については最低限記録に残しておくことをおすすめします。
- 児童氏名
- 送迎の内容(迎え・送り)
- 出発時間や場所
- 到着時間や場所
- 連絡事項
- 運転手氏名
- 添乗者氏名 など
児童発達支援における送迎加算の算定状況
厚生労働省の実態調査によると、児童発達支援における送迎加算の算定状況は下表のようになっています。
回答のあった事業所数 | 5,321か所 |
食事提供加算を算定している事業所数 | 2,919か所 |
利用者 | 111,187人 |
食事提供加算を算定している利用者数 | 34,668人 |
なお、送迎サービスは次のような理由から提供している事業所が多いようです。
- 保護者などからの要望が多いから
- 事故や犯罪など、通所時の安全に不安があるから
- 運営規程に定めているから
送迎サービスの可否については、保護者のニーズと人員体制の両側面を踏まえてよく検討しましょう。
まとめ
児童発達支援で送迎サービスを提供した場合、送迎加算を算定できます。ただし、送迎車両・事業所内ともに安全な運営を継続するためには、相応の人員確保が必要です。加算の算定や経営でお悩みの方は、児童発達支援に強い「障がい福祉専門の税理士事務所」へお早めに相談することをオススメします。
参考文献